監獄法施行規則一二一条本文、一二七条一項本文は、憲法一三条、三二条に違反しない。
監獄法施行規則一二一条本文、一二七条一項本文と憲法一三条、三二条
憲法13条,憲法32条,監獄法施行規則121条,監獄法施行規則127条1項
判旨
受刑者が民事訴訟の打合せのために弁護士と接見する際、刑務所長が接見時間を30分以内とし、かつ職員を立ち会わせた措置は、受刑者の性向や接見の必要性を考慮した結果、裁量権の範囲を逸脱・濫用したものとはいえず適法である。
問題の所在(論点)
受刑者が民事訴訟の打合せのために弁護士と接見する場合において、刑務所長が接見時間に制限を付し、かつ職員の立会いを条件とした処分は、裁量権の逸脱・濫用(監獄法、憲法32条等に抵触)となるか。
規範
監獄法施行規則等に基づく接見の制限(時間制限・立会い)を解除するか否かは、刑務所長の裁量に委ねられる。もっとも、受刑者にも憲法32条の裁判を受ける権利が保障されており、弁護士との接見目的の重要性を考慮すべきである。具体的には、申請された接見の具体的必要性と、拘禁の目的(保安上の要請等)を比較衡量し、制限を解除しないことが社会通念上著しく妥当を欠く場合に限り、裁量権の逸脱・濫用として違法となる。
重要事実
懲役刑受刑者A4は、国に対し医療過誤や職員による暴行等を主張して国家賠償請求訴訟を提起した。A4の訴訟代理人弁護士らは、打合せのため30分を超える時間かつ職員の立会いなしの接見を求めたが、所長は「30分以内」および「職員立会い」の条件を付して許可した。なお、A4は刑務所内で反抗的な態度を継続し、自力歩行不能を装う等の問題行動により、たびたび懲罰処分を受けていた。
事件番号: 平成10(オ)529 / 裁判年月日: 平成12年9月7日 / 結論: 破棄自判
一 受刑者の提起した民事訴訟事件における右受刑者の訴訟代理人である弁護士が,本人尋問の準備等のために必要であるとして三〇分を超える接見の許可を申請したのに対し,接見時間を三〇分以内に制限して接見を許可した刑務所長の処分は,右受刑者には親族との接見とは別に訴訟代理人である弁護士との間で原則として月二回の接見が許可されてお…
あてはめ
時間制限について、申請された接見内容(口頭弁論の結果説明等)からすれば、30分を超える特段の必要性は認められず、制限は裁量の範囲内である。次に立会いの要否について、A4は反抗的な態度を継続し、虚偽の身体障害を主張する等の性向・行状が認められる。このような事実関係下では、不測の事故防止や動静把握による処遇上の必要性が大きく、立会いを条件としたことは社会通念上著しく妥当を欠くとはいえない。したがって、裁量の逸脱・濫用は認められない。
結論
本件各処分は裁量権の範囲内であり、適法である(上告棄却)。
実務上の射程
受刑者の弁護士接見は、刑事被告人の接見交通権(刑訴法39条1項)のような強い保障はないが、裁判を受ける権利の観点から裁量審査の対象となる。答案上は、接見の内容(事実調査の必要性等)と、受刑者の問題行動等の保安上の必要性を相関的に考慮する枠組みとして活用する。
事件番号: 平成5(オ)1485 / 裁判年月日: 平成12年3月17日 / 結論: 棄却
弁護人が警察署に赴き勾留中の被疑者との接見の申出をしたのに対し、申出を受けた留置主任官が、接見の日時等を指定する権限のある検察官から被疑者と弁護人との接見についていわゆる一般的指定書が送付されていたのに弁護人が具体的指定書を所持していなかったので、右検察官に連絡して指示を受けるために三度にわたり検察庁に電話をしたが、右…
事件番号: 平成29(受)990 / 裁判年月日: 平成30年10月25日 / 結論: 破棄差戻
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人又は弁護人となろうとする者からあった場合に,その申出があった事実を未決拘禁者に告げないまま,保護室に収容中であることを理由として面会を許さない刑事施設の長の措置は,未決拘禁者が精神的に著しく不…