金融商品取引法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において,請求権者の受けた損害につき,有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていたことによって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情により生じたことが認められる場合に,当該事情により生じた損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは,裁判所は,民訴法248条の類推適用により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,金融商品取引法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができる。 (補足意見がある。)
金融商品取引法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額と民訴法248条の類推適用
金融商品取引法18条1項,金融商品取引法19条,民訴法248条
判旨
金商法18条1項に基づく損害賠償請求において、有価証券の値下がりが虚偽記載等以外の事情により生じたことが認められ、かつその額の立証が極めて困難な場合には、民訴法248条を類推適用して相当な損害額を認定できる。
問題の所在(論点)
金商法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において、同法19条2項(虚偽記載等以外の事情による損害の減免)の適用に関し、民訴法248条を類推適用して損害額を認定することの可否。
規範
金商法18条1項及び19条2項は、不実開示の抑止と投資家保護を目的として、賠償額を法定した上で、虚偽記載等と相当因果関係のない損害額を減ずる方式を採っている。そのため、値下がりが虚偽記載等以外の事情により生じたことが認められるものの、その損害の性質上、額の立証が極めて困難な場合には、当事者間の衡平の観点から、民訴法248条を類推適用し、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができる。
重要事実
上場会社である被上告人が提出した有価証券届出書(参照先の半期報告書を含む)に重要な事項の虚偽記載があった。これに基づき、当該株式を取得した上告人らが、金商法18条1項(23条の2により読み替え適用)に基づき損害賠償を請求した。原審は、民訴法248条を類推適用し、19条2項に基づき賠償責任を免れる額を認定したため、上告人らが当該条文の解釈誤りを主張して上告した。
あてはめ
金商法18条及び19条は、請求権者の立証負担を軽減する政策的規定であり、事案に即した損害賠償額の算定を目指すものである。他方、民訴法248条は損害額の立証が困難な場合に衡平を図る趣旨の規定である。金商法19条2項の適用場面においても、虚偽記載等以外の要因による損害発生は認められるが額の立証が困難な場合があり、ここで同条を全く認めないのは制度の趣旨に反し、衡平を失う。なお、金商法21条の2第6項のような明文規定が19条にない点は、21条の2が法律上の推定を覆す場面であることを考慮して念のために設けられた規定にすぎず、19条への類推適用を妨げるものではない。
結論
金商法18条1項の損害賠償請求において、19条2項の減免額を認定する際、民訴法248条を類推適用して相当な額を認定することは可能である。
実務上の射程
発行市場(18条)のみならず、流通市場(21条の2)においても同様の法理が妥当する。実務上、株価下落には市場全体の動向や景気など多層的要因が混在するため、被告側の抗弁として19条2項を主張する際、厳密な額の証明ができずとも、248条の類推適用による相当額の認定を求めるという立論が可能になる。
事件番号: 昭和38(オ)691 / 裁判年月日: 昭和39年6月18日 / 結論: 棄却
未乾燥の印刷物を断截して製本作業をするとその結果インキの光沢を失い、断截機の押力でインキが印刷物の紙の裏に附着したりインキが飛んだり紙を汚染し出来上りが不良になるという事実を、公知の事実ということはできない。