村議会の議員である者につき地方自治法92条の2の規定に該当する旨の決定がされ,その補欠選挙が行われた場合において,同選挙は上記決定の効力が停止された後に行われたものであったが,同選挙及び当選の効力に関し公職選挙法所定の期間内に異議の申出がされなかったという事実関係の下では,上記の者は,上記決定の取消判決を得ても,上記議員の地位を回復することはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)
村議会の議員である者につき地方自治法92条の2の規定に該当する旨の決定がされ,その補欠選挙が行われた場合において,上記の者が上記決定の取消判決を得ても上記議員の地位を回復することはできないとされた事例
地方自治法92条の2,地方自治法(平成28年法律第94号による改正前のもの)127条1項,行政事件訴訟法25条2項,公職選挙法113条1項,公職選挙法202条1項,公職選挙法206条1項
判旨
議員資格喪失決定に対する執行停止決定により地位を暫定的に回復しても、その後の補欠選挙及び当選の効力が公職選挙法上の争訟期間経過により確定した場合には、もはや議員の地位を回復することはできず、執行停止を求める利益は失われる。
問題の所在(論点)
議員資格喪失決定の執行停止により議員の地位を暫定的に回復していた者が、その後に実施された補欠選挙の効力が確定(争訟期間経過)した状況において、なお当該資格喪失決定の効力の停止を求める利益を有するか。
規範
公職選挙法に定める選挙又は当選の効力は、同法所定の争訟の結果無効となる場合のほか、原則として当然無効とはならない。選挙の効力を争う方法は同法所定の争訟手段に限定されており、所定の期間内に異議の申出等がなされないまま期間が経過したときは、もはやその効力を争い得ず、これと相容れない地位の回復を認める余地はない。
重要事実
事件番号: 平成10(行フ)1 / 裁判年月日: 平成11年1月11日 / 結論: 棄却
地方議会議員の除名処分の効力停止決定がされることによって、除名による欠員が生じたことに基づいて行われた繰上補充による当選人の定めはその根拠を失うことになり、選挙管理委員会は、右当選人の定めを撤回し、その当選を将来に向かって無効とすべき義務を負う。
村議会議員である相手方が議員資格喪失決定(本件決定)を受け、その取消訴訟と効力停止を申し立てた。原々審が本件決定の効力を停止したため、相手方は暫定的に議員の地位を回復したが、その間に本件決定に伴う補欠選挙が実施され、他者が当選した。相手方は当該補欠選挙の効力を公職選挙法上の争訟(異議申出等)で争わなかったが、原審は議員としての不利益の重大性を理由に執行停止の緊急の必要性を認めた。
あてはめ
相手方は、執行停止決定により欠員が生じていないのに実施された無効な選挙であるとして、補欠選挙について異議の申出をすることができた。しかし、所定の期間内に異議がなされなかった以上、補欠選挙及び当選の効力はもはや争い得ず確定したといえる。補欠選挙による当選の効力確定は、相手方が本案判決により議員の地位を回復することと相容れないため、もはや相手方は議員の地位を回復し得ない。地位回復が不可能な以上、本件決定の効力を停止する実益はない。
結論
相手方はもはや議員の地位を回復することができないため、本件決定の効力の停止を求める利益はなく、申立ては却下されるべきである。
実務上の射程
行政事件訴訟における執行停止の利益(訴えの利益の類推)に関する判断。選挙訴訟における「排他的争訟手段」の法理が、先行する資格喪失処分の効力停止という仮の救済にも優越することを示した点に実務上の意義がある。
事件番号: 平成14(行フ)1 / 裁判年月日: 平成14年2月28日 / 結論: 棄却
収容令書の執行により収容された者に対し,退去強制令書が発付され,その執行がされた場合,収容令書の執行停止を求める申立ての利益は失われる。
事件番号: 平成16(行フ)3 / 裁判年月日: 平成16年5月31日 / 結論: その他
退去強制令書の収容部分の執行により被収容者が受ける損害は,当然には行政事件訴訟法25条2項に規定する回復の困難な損害に当たらない。
事件番号: 昭和33(ク)6 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反を実質的な理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定(執行停止の決定)に対して、その決定が憲法に違反する旨を主張して最高裁判所に抗告を申…
事件番号: 平成22(行ト)63 / 裁判年月日: 平成22年11月25日 / 結論: 棄却
検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否については,行政事件訴訟を提起して争うことはできず,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることもできない。