検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否については,行政事件訴訟を提起して争うことはできず,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることもできない。
検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否につき行政事件訴訟を提起して争い,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることができるか
検察審査会法41条の6第1項,検察審査会法41条の10第1項,行政事件訴訟法1条,行政事件訴訟法25条2項
判旨
検察審査会による起訴をすべき旨の議決は、刑事訴訟手続の一部としてその適否が判断されるべきものであり、行政事件訴訟の対象とはならない。
問題の所在(論点)
検察審査会による「起訴をすべき旨の議決」が、行政事件訴訟法上の「処分」(行政処分)に該当し、取消訴訟およびそれに基づく執行停止の申立ての対象となるか。また、その適否を争うべき適当な手続は何か。
規範
検察審査会法41条の6第1項所定の起訴をすべき旨の議決は、刑事訴訟手続における公訴提起(同法41条の10第1項)の前提となる手続である。その適否は、刑事訴訟手続において判断されるべき性質を有するため、行政事件訴訟を提起して争うことはできない。したがって、これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることもできない。
重要事実
検察審査会が抗告人に対し、検察審査会法41条の6第1項に基づき「起訴をすべき旨の議決」を行った。これに対し抗告人は、当該議決の取消しを求める訴えを本案として、行政事件訴訟法に基づき議決の効力の停止を申し立てた。
事件番号: 昭和33(ク)6 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反を実質的な理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定(執行停止の決定)に対して、その決定が憲法に違反する旨を主張して最高裁判所に抗告を申…
あてはめ
検察審査会の起訴議決は、指定弁護士による公訴提起の直接の前提となる一連の刑事手続の一環をなす。このような刑事訴訟手続における各判断は、最終的には刑事裁判の場において防御を尽くすことで解決されるべき性質のものである。したがって、行政訴訟という別異の手続でその適否を審理することは、刑事手続の円滑な進行を妨げることにもなり、法が予定するところではない。ゆえに、本件議決を本案とする執行停止の申立ては、本案訴訟自体が不適法であることから却下されるべきである。
結論
検察審査会の起訴議決を本案とする行政事件訴訟および執行停止の申立ては不適法である。議決の適否は刑事訴訟手続の中で争うべきである。
実務上の射程
刑事手続に先行する判断や中間的な決定の処分性を否定する文脈で活用できる。刑事裁判を唯一の救済の場とする『刑事手続の独立性・完結性』を強調する際の有力な論拠となる。
事件番号: 平成26(行ト)55 / 裁判年月日: 平成26年8月19日 / 結論: 棄却
逃亡犯罪人引渡法35条1項の規定が,同法14条1項に基づく逃亡犯罪人の引渡命令につき,行政手続法第3章の規定の適用を除外し,逃亡犯罪人引渡法10条1項3号の決定がされたのを受けて行われる上記命令の発令手続において改めて当該逃亡犯罪人に弁明の機会を与えることを要しないものとしていることは,憲法31条の法意に反しない。
事件番号: 昭和31(ク)273 / 裁判年月日: 昭和31年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が判断し得る「法律上の争訟」とは特定の当事者間の具体的な法律関係の紛争に限られ、客観的法秩序の維持を目的とする民衆訴訟は、法律の規定がある場合に限り認められる特例的な制度である。したがって、個別の法律において民衆訴訟が規定されていないことをもって、裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反す…
事件番号: 昭和63(し)53 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べに関する異議申立てを棄却した決定に対し、不服申立てを行うことは認められない。裁判所の証拠調べに関する裁量的判断を尊重し、訴訟手続の遅延を防止する観点から、抗告は不適法とされる。 第1 事案の概要:福岡地方裁判所において行われた証拠調べに関し、当事者が異議を申し立てたが、同裁判所はその異議を…
事件番号: 昭和56(す)63 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく刑の執行に関する異議の申立ては、刑の言渡しをした確定裁判を対象とすべきであり、抗告棄却決定に対しては許されない。 第1 事案の概要:申立人が、抗告棄却決定を対象として刑訴法501条に基づく申立てを行った事案。 第2 問題の所在(論点):刑訴法501条に基づき、検察官の執行…