抗告を不適法として棄却した決定に対する特別抗告が抗告趣意について判断するまでもないとして棄却された事例
刑訴法433条
判旨
証拠調べに関する異議申立てを棄却した決定に対し、不服申立てを行うことは認められない。裁判所の証拠調べに関する裁量的判断を尊重し、訴訟手続の遅延を防止する観点から、抗告は不適法とされる。
問題の所在(論点)
証拠調べに関する異議申立てを棄却する決定に対し、抗告を申し立てることは可能か。また、これを認めないことが憲法37条1項、82条に違反するか。
規範
刑事訴訟法上、証拠調べに関する決定に対しては、原則として独立の抗告を申し立てることはできない(刑訴法420条1項参照)。裁判所の証拠調べに関する異議申立てに対する棄却決定についても、これに対する抗告を認める明文の規定はなく、手続の円滑な進行を確保するため、これを不適法として棄却すべきである。
重要事実
福岡地方裁判所において行われた証拠調べに関し、当事者が異議を申し立てたが、同裁判所はその異議を棄却する決定を行った。これに対し当事者が抗告を申し立てたところ、原審はこの抗告を不適法として棄却した。抗告人は、この原審の判断が憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)および82条(裁判の公開)に違反するとして、最高裁判所に抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
刑事訴訟手続において、証拠調べの採否や実施方法は裁判所の広範な裁量に委ねられている。本件において、福岡地裁が行った異議申立て棄却決定は、証拠調べに関する付随的な手続的判断に過ぎない。このような決定に対して独立の抗告を認めると、訴訟手続の中断を招き、迅速な裁判を阻害するおそれがある。原審が抗告を不適法とした判断は、現行法の解釈として正当であり、憲法が保障する公開裁判を受ける権利を侵害するものとはいえない。
事件番号: 昭和57(し)58 / 裁判年月日: 昭和57年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立棄却決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が、証拠決定(証拠の採否等)に対してなされた異議申立てを棄却した決定に対し、不服を申し立てるべく刑…
結論
証拠調べに関する異議申立て棄却決定に対する抗告は不適法である。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法における抗告の制限に関する基本的事案である。証拠調べの決定等の訴訟手続に関する決定に対し、法が特別に認める場合を除き、独立の抗告が許されないことを確認する際に引用する。憲法違反の主張についても、手続法の適正な運用に基づく制限として否定される傾向にある。
事件番号: 昭和53(し)101 / 裁判年月日: 昭和53年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却する決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定であり、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる決定にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、裁判所による証拠決定(証拠採用または却下の決定)に対して異議を申し立てたところ、裁判所がその異議申立てを棄却する決…
事件番号: 昭和46(し)14 / 裁判年月日: 昭和46年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、同条に基づく特別抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、抗告人は証拠調決定に対する異議申立てを棄却する決定を受けた。これに対し、抗告人は憲法37条1…
事件番号: 昭和35(し)3 / 裁判年月日: 昭和35年2月23日 / 結論: 棄却
検察官から証拠調の請求がなされた録音テープ一巻は、いわゆる盗聴による違法証拠で証拠能力がない旨の弁護人の意義申立を棄却し、これを取り調べる旨の決定は、公訴手続に関し判決前にした決定であつて、刑訴第四三三条第一項にいわゆる「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…