判旨
訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、同条に基づく特別抗告の対象とならない。
問題の所在(論点)
訴訟手続に関して判決前にされた決定(本件では証拠調決定に対する異議申立棄却決定)が、刑訴法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当し、特別抗告の対象となるか。
規範
刑訴法433条1項が規定する特別抗告の対象である「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、同法が定める通常の上訴手続(抗告等)によって不服を申し立てることができない終局的な決定を指す。一方、訴訟手続に関し判決前にされた決定については、独立の不服申立てを認めず判決に対する上訴によって争わせるという法意(刑訴法403条、420条参照)に基づき、同項の対象から除外されると解すべきである。
重要事実
本件において、抗告人は証拠調決定に対する異議申立てを棄却する決定を受けた。これに対し、抗告人は憲法37条1項(被告人の権利)違反を主張して最高裁判所に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件の異議申立棄却決定は、証拠調決定という訴訟手続に関して判決前にされた決定に関するものである。刑訴法上、このような判決前の決定については原則として独立の抗告が許されず、判決に対する上訴の中でその当否を争うべきものとされている。したがって、当該決定は刑訴法433条1項が予定する「不服を申し立てることができない決定」にはあたらないと解される。
結論
本件特別抗告は、法433条1項の対象とならない決定に対してなされたものであり、不適法として棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和35(し)3 / 裁判年月日: 昭和35年2月23日 / 結論: 棄却
検察官から証拠調の請求がなされた録音テープ一巻は、いわゆる盗聴による違法証拠で証拠能力がない旨の弁護人の意義申立を棄却し、これを取り調べる旨の決定は、公訴手続に関し判決前にした決定であつて、刑訴第四三三条第一項にいわゆる「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
訴訟手続中の各決定(証拠決定等)に対し、憲法違反を理由に直ちに最高裁へ特別抗告を行うことはできないことを示す。実務上は、判決後の控訴・上告において、前提となる手続の違法として主張すべき事案である。
事件番号: 昭和32(し)55 / 裁判年月日: 昭和33年4月18日 / 結論: 棄却
刑訴法第一四四条但書にいう「国の重大な利益を害する」との要件を具備しな証言拒絶を許容した違法があるとの意義申立を棄却する決定の如き訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…
事件番号: 昭和43(し)105 / 裁判年月日: 昭和43年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調請求却下決定に対する異議申立棄却決定のような、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判所が行った証拠調請求却下決定に対し、異議の申し立てを行っ…
事件番号: 昭和47(し)87 / 裁判年月日: 昭和47年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しない。したがって、証拠調請求却下決定に対する異議申立を棄却した決定に対して、同条に基づく特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人側が証拠調べを請求したが…