刑訴法第一四四条但書にいう「国の重大な利益を害する」との要件を具備しな証言拒絶を許容した違法があるとの意義申立を棄却する決定の如き訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない
刑訴法第一四四条但書の要件を具備しない証言拒絶を許容した違法があるとの意義申立を棄却する決定と特別抗告
刑訴法144条,刑訴法420条,刑訴法433条1項,刑訴法309条
判旨
刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には、訴訟手続に関し判決前にした決定は含まれない。したがって、証拠調に関する異議申立棄却決定に対して特別抗告を申し立てることは不適法である。
問題の所在(論点)
証拠調に関する異議申立棄却決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定について、刑事訴訟法433条1項に基づき特別抗告を申し立てることは可能か。
規範
刑事訴訟法433条1項が規定する特別抗告の対象である「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、終局的決定を指し、「訴訟手続に関し判決前にした決定」はこれに含まれない。
重要事実
騒擾等被告事件の公判において、証人(巡査)が職務上の秘密を理由に証言を拒絶し、監督官庁である警視総監も国の重大な利益を害するとして承諾を拒んだ。裁判長が当該証人に尋問に応ずることを命じなかった(刑訴法144条但書関連)ため、弁護人が異議を申し立てたが、第一審裁判所は、証言が国の重大な利益を害するか否かの判断は監督官庁の意見に拘束されるとして異議を棄却した。弁護人はこの棄却決定に対し、特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和35(し)3 / 裁判年月日: 昭和35年2月23日 / 結論: 棄却
検察官から証拠調の請求がなされた録音テープ一巻は、いわゆる盗聴による違法証拠で証拠能力がない旨の弁護人の意義申立を棄却し、これを取り調べる旨の決定は、公訴手続に関し判決前にした決定であつて、刑訴第四三三条第一項にいわゆる「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
あてはめ
本件で争われている証拠調に関する異議申立棄却決定は、判決前に訴訟手続に関してなされた決定である。判例の解釈によれば、このような判決前の決定は刑事訴訟法433条1項に規定される「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しない。したがって、同条に基づく特別抗告の対象とはなり得ない。
結論
本件特別抗告は不適法であり、棄却される。訴訟手続に関する判決前の決定については、特別抗告による不服申立ては認められない。
実務上の射程
判決前の手続的決定に対する不服は、原則として終局判決に対する上訴の中で争うべきであり、独立して特別抗告を行うことはできないという実務上の枠組みを明示している。証拠採用の可否や証言拒絶の当否などは、本条の特別抗告の対象から除外される。
事件番号: 昭和46(し)14 / 裁判年月日: 昭和46年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、同条に基づく特別抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、抗告人は証拠調決定に対する異議申立てを棄却する決定を受けた。これに対し、抗告人は憲法37条1…
事件番号: 昭和43(し)105 / 裁判年月日: 昭和43年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調請求却下決定に対する異議申立棄却決定のような、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判所が行った証拠調請求却下決定に対し、異議の申し立てを行っ…
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…
事件番号: 昭和38(し)48 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定に対する異議申立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。したがって、かかる決定に対して特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:京都地方裁判所は、暴力行為等処罰法違反被告事件…