理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし,役員である理事に理事長を含むものとした上,役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならないとする一方で,理事を組合員のうちから総会で選任し,理事の互選により理事長を選任する旨の定めがある規約を有するマンション管理組合においては,理事の互選により選任された理事長につき,当該規約中の理事の互選により理事長を選任する旨の定めに基づいて,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができる。
理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし,役員である理事に理事長を含むものとした上,役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない旨の定めがある規約を有するマンション管理組合において,理事の互選により選任された理事長につき,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができるとされた事例
建物の区分所有等に関する法律3条,建物の区分所有等に関する法律25条1項
判旨
管理規約において「理事は組合員の中から総会で選任し、理事長は理事の互選により選任する」との定めがある場合、理事会は理事の過半数の一致により理事長を解任できる。
問題の所在(論点)
管理規約において、理事を総会で選任し、理事長を理事の互選で選任すると定められている場合、理事会(理事の過半数の一致)によって理事長を解任(役職を変更)することができるか。規約上「役員の解任は総会決議事項」とされていることが、理事会による理事長解任を妨げるか。
規範
区分所有法25条1項は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議で管理者を選任・解任できるとする。これは、集会決議以外の解任方法を規約に委ねる趣旨である。規約上、理事が総会で選任され、理事長が理事の互選で選任されると定められている場合、理事長を理事が就く役職の一つと位置付け、その選定を理事の互選に委ねたものといえる。したがって、特段の事情がない限り、理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも理事の権限に委ねる趣旨と解するのが、区分所有者の合理的意思に合致する。
事件番号: 平成14(受)973 / 裁判年月日: 平成16年10月26日 / 結論: その他
信用金庫の理事を信用金庫法38条所定の手続によることなく解任することはできない。
重要事実
マンション管理組合(上告人)の規約では、役員(理事・監事)は総会で選任し、理事長は理事の互選により選任するとされていた。また、役員の選任・解任は総会決議事項とされていた。理事長であった被上告人は、理事会決議を経ずに臨時総会を招集しようとした。これに対し、理事会は理事10名の一致により、被上告人を理事長から解任し(役職を理事に変更)、別の理事を新理事長に選任する決議(本件理事会決議)を行った。被上告人は、理事会には理事長を解任する権限がなく、本件理事会決議は無効であると主張して争った。
あてはめ
本件規約は、理事長を管理者としつつ、理事長を理事が就く役職の一つと位置付けている。総会で選任された理事に対し、互選により理事長を定めることを委ねている以上、その選任権限には、反対に職を解く権限も含まれると解される。規約において「役員の解任」が総会決議事項とされているが、これは「理事」という役員自体の地位を失わせる場合を指すと解すべきであり、理事の地位を保ったまま「理事長」という役職のみを解くことを妨げるものではない。したがって、理事10名の一致による本件理事会決議は、規約に違反せず有効である。
結論
理事会は、理事の過半数の一致により、理事の互選で選任された理事長の職を解くことができる。したがって、本件理事会決議は有効であり、被上告人の理事長解任は認められる。
実務上の射程
標準管理規約(単棟型)35条・40条と同様の規定を持つ管理組合に広く適用される。ただし、本判決はあくまで「理事の地位を維持したまま理事長の役職のみを解く(解職)」場合を対象としており、理事の地位そのものを剥奪(解任)するには依然として総会決議が必要である点に注意が必要である。
事件番号: 昭和34(オ)1058 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
一、財団法人A1会の理事評議員の解任が会長の専権事項であつても、原判示のような事実関係のもとにおいて、理事会議、評議会に諮り、十分論議をつくした上でなさるべきであるに拘わらず、特に解任しなければならないような事情もないのに、会長が軽々になした解任は権利濫用と断定できないわけではない。 二、財団法人の理事評議員の解任決議…
事件番号: 平成17(受)614 / 裁判年月日: 平成18年7月10日 / 結論: 棄却
1 社会福祉法人が理事の退任によって定款に定めた理事の員数を欠くに至り,かつ,定款の定めによれば,在任する理事だけでは後任理事を選任するのに必要な員数に満たないため後任理事を選任することができない場合において,仮理事の選任を待つことができないような急迫の事情があり,かつ,退任した理事と当該法人との間の信頼関係が維持され…
事件番号: 昭和38(オ)940 / 裁判年月日: 昭和41年1月28日 / 結論: 破棄自判
一 中小企業等協同組合が、中小企業等協同組合法第四一条所定の改選手続によることなく、総会または総代会の決議をもつて理事を解任することは、許されない。 二 中小企業等協同組合の理事の罷免については、民法第六五一条は準用されない。