再生債務者が無償行為若しくはこれと同視すべき有償行為の時に債務超過であること又はその無償行為等により債務超過になることは,民事再生法127条3項に基づく否認権行使の要件ではない。
再生債務者が無償行為若しくはこれと同視すべき有償行為の時に債務超過であること又はその無償行為等により債務超過になることは民事再生法127条3項に基づく否認権行使の要件か
民事再生法127条3項
判旨
民事再生法127条3項に基づく無償行為等の否認において、再生債務者が行為の時に債務超過であること、またはその行為により債務超過になることは要件ではない。
問題の所在(論点)
民事再生法127条3項に基づく無償行為等の否認において、再生債務者が当該行為の時に債務超過であること、または当該行為により債務超過になることが要件となるか。
規範
民事再生法127条3項の趣旨は、対価を伴わない行為が再生債権者の利益を害する危険が特に顕著であることに鑑み、専ら行為の内容及び時期に着目して特殊な否認類型を認めた点にある。したがって、同項に基づく否認権行使の要件として、文言にない「債務超過」の状態(行為時または行為の結果)を必要としない。
重要事実
再生債務者A社は、平成26年8月、上告人に対し他社の借入金債務を連帯保証する契約(本件契約)を締結した。その後、A社は平成27年2月に再生手続開始の申立てを行い、決定を受けた。上告人が本件契約に基づく保証債権を届け出たところ、再生管財人である被上告人は、本件契約が無償行為等に該当するとして、民事再生法127条3項に基づき否認権を行使した。これに対し、上告人は、同項の否認には行為時の債務超過が必要であると主張して争った。
事件番号: 平成23(受)392 / 裁判年月日: 平成24年12月21日 / 結論: 破棄差戻
多額の債務を負い資金繰りが悪化していた株式会社が,転換社債型新株予約権付社債の発行によって得る払込金の使途につき,実際にはこれをスワップに係る契約における支払金に充てる予定であり,上記社債の発行による資金調達は不確実であったのに,上記払込金を債務の返済に充てる旨の虚偽記載等がされた臨時報告書及び有価証券報告書を提出し,…
あてはめ
民事再生法127条3項は、対象となる行為の内容(無償行為等)および時期(支払停止等の後またはその前6月以内)を明文で規定しているが、債務超過の状態については何ら言及していない。無償行為は対価を欠き、債権者全体に与える不利益が明白かつ重大なため、その危険性に着目して類型化されたものである。したがって、法的安定性および否認権行使の機動性を確保する観点からも、明文にない債務超過要件を付加すべきではない。
結論
再生債務者が無償行為等の時に債務超過であること等は、民事再生法127条3項に基づく否認権行使の要件ではない。
実務上の射程
無償否認(民再法127条3項、破産法164条)全般に射程が及ぶ。司法試験においては、否認権の要件充足性を検討する際、支払停止等の時期と無償性の認定に集中すれば足り、無資力(債務超過)の立証は不要であることを明記するために用いる。
事件番号: 平成29(許)19 / 裁判年月日: 平成29年12月19日 / 結論: 棄却
小規模個人再生において,再生債権の届出がされ(民事再生法225条により届出がされたものとみなされる場合を含む。),一般異議申述期間又は特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかったとしても,住宅資金特別条項を定めた再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた場合に当たるか否かの判断に当たっては,当該再生…
事件番号: 平成19(許)24 / 裁判年月日: 平成20年3月13日 / 結論: 棄却
1 民事再生法174条2項3号所定の「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」には,議決権を行使した再生債権者が詐欺,強迫又は不正な利益の供与等を受けたことにより再生計画案が可決された場合はもとより,再生計画案が信義則に反する行為に基づいて可決された場合も含まれる。 2 次の(1)及び(2)の事情の下で…