破産債権者が破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた場合において,破産手続開始の時における債権の額として確定したものを基礎として計算された配当額が実体法上の残債権額を超過するときは,その超過する部分は当該債権について配当すべきである。 (補足意見がある。)
破産債権者が破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた場合における,破産手続開始時の債権の額を基礎として計算された配当額のうち実体法上の残債権額を超過する部分の配当方法
破産法104条,破産法200条
判旨
破産手続開始後に物上保証人から一部弁済を受けた債権者が、破産法104条5項・2項に基づき開始時の債権額で配当を受ける際、配当額が実体法上の残債権額を超過する場合でも、その超過部分は求償権者ではなく当該債権者に配当すべきである。
問題の所在(論点)
破産手続開始後に一部弁済を受けた破産債権者について、計算上の配当額が実体法上の残債権額を超過する場合、その超過部分(配当余剰)を当該債権者に配当すべきか、それとも一部弁済をした求償権者(物上保証人)に配当すべきか。
規範
破産法104条1項・2項(同条5項で準用)は、責任財産の集積による債権の実現を確実にするため、一部弁済後も債権全額が消滅しない限り、破産手続上は開始時の債権額が現存するものとみなして配当額を算定する。この仕組みは、配当額と実体法上の債権額の乖離を認め、債権者が実体法上の残額を超過する配当を受けることを許容する趣旨である。また、同条3項ただし書および4項(同条5項で準用)から、一部弁済した求償権者が債権者に並んで予備的に配当手続に参加することは認められず、債権全額が消滅するまでは求償権者が債権者の権利を代位行使することもできない。
重要事実
破産者に対し求償権を有する債権者(相手方)が、破産手続開始後に物上保証人(A)から債権の一部の弁済(約2,593万円)を受けた。これにより実体法上の残債権は約3,057万円となったが、開始時の確定債権額に基づき算出された計算上の配当額は約4,512万円であった。破産管財人(抗告人)は、残債権額を超える部分(約1,455万円)をAに配当する配当表を作成したため、相手方が異議を申し立てた。
事件番号: 平成11(許)40 / 裁判年月日: 平成12年4月28日 / 結論: 破棄自判
破産者が株式会社である場合を含め、破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき別除権者がその放棄の意思表示をすべき相手方は、破産者である。
あてはめ
本件では、破産法104条5項が準用する同条2項により、相手方は一部弁済後も開始時の確定債権額に基づき配当を受ける権利を有する。物上保証人Aによる一部弁済後も債権全額が消滅していない以上、同条4項によりAは相手方の権利を代位行使できず、同条3項により予備的な届出に基づき配当に参加することもできない。したがって、計算上の配当額が実体法上の残額を超過する事態が生じても、その全額が相手方に配当されるべきであり、管財人が超過部分をAに割り当てた本件配当表は不当といえる。なお、超過部分を得た債権者が求償権者に対し不当利得返還義務を負うかは別論である。
結論
超過部分は当該破産債権者(相手方)に配当すべきであり、求償権者(A)への配当を認めた配当表に対する異議申し立てを認めるべきである。
実務上の射程
破産法104条(全部義務者・物上保証人)の「配当額の計算の基礎」と「受領できる配当額」の関係を示す重要な射程を持つ。答案上は、開始時の債権額を基準とする原則を貫徹し、実体法上の二重利得の調整は不当利得等の手続外の解決に委ねるべきという論理で活用する。
事件番号: 平成16(許)5 / 裁判年月日: 平成16年10月1日 / 結論: 破棄自判
破産者が株式会社である場合において,破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき,別除権者が破産者の破産宣告当時の代表取締役に対してした別除権放棄の意思表示は,これを有効とみるべき特段の事情の存しない限り,無効である。
事件番号: 平成8(行ツ)111 / 裁判年月日: 平成9年12月18日 / 結論: 棄却
破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。