自己の債権額の限度で配当を受けた債権者は、他の債権者に対する配当につき異議を申し立てる利益がない。
自己の債権額の限度で配当を受けた債権者と配当異議申立の利益
民訴法636条
判旨
配当異議の訴えにおいて、債権者が自己の債権額の限度で配当を受ける内容の配当表変更が命じられた場合、当該債権者はそれ以上に他者の配当額を争う訴えの利益を失う。
問題の所在(論点)
配当異議の訴えにおいて、自身の債権額の全額に相当する配当が認められた後も、なお相手方に対する配当につき異議を申し立てる「訴えの利益」が認められるか。
規範
配当異議の訴えにおける訴えの利益は、自己の債権額を限度として認められる。したがって、自己の債権全額について配当が受けられるよう配当表の変更が命じられた場合には、もはや相手方に対する配当額を減じることについて法律上の利益を有しない。
重要事実
上告人(配当異議債権者)は、被上告人両名に対する配当額について異議を申し立て、配当表の変更を求めた。原審は、上告人の債権額を37万7750円と認定した上で、その全額が上告人に配当されるよう配当表の変更を命じる判決を言い渡した。これに対し、上告人はさらなる不服を申し立てて上告した。
あてはめ
本件において、上告人の債権額は原審により37万7750円と確定されており、当該金額の限度で配当表の変更が命じられている。配当異議の訴えの本質は、不当な配当により自己の債権が満足を受けられない状態を是正することにある。上告人は自己の債権全額について配当を受けられることになった以上、被上告人に対する配当をさらに削る必要性は消失しており、上告を維持する利益はないと解される。
結論
上告人は、自己の債権額の限度で配当を受けた場合には、もはや相手方に対する配当につき異議を申し立てる利益がないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
民事執行法に基づく配当異議の訴えにおいて、原告の請求の認容限度(訴えの利益の範囲)を画定する基準となる。実務上、債権額を超える異議の主張を封じる際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和41(オ)255 / 裁判年月日: 昭和47年6月30日 / 結論: 棄却
不動産の任意競売の申立人は、被担保債権につき、申立書に表示した債権の額に制限されないで、競売代金から配当を受けることができる。