競売法による不動産競売手続において、競売裁判所は、仮登記のある抵当権者に対してはその仮登記の本登記をすれば第三者に対抗することができる抵当権の順位および内容にしたがつて競売代金を配当すべく、その配当額についてはこれを供託し、後日その仮登記の本登記をするに必要な条件を具備するに至つたとき、これを右仮登記権利者に交付すべきである。
競売法による不動産競売手続における仮登記のある抵当権者に対する競売代金の配当方法
民訴法630条3項,民法373条,不動産登記法2条
判旨
不動産競売手続において、抵当権設定仮登記の権利者は、本登記が未了であっても、将来の本登記により対抗し得る順位及び内容に従った配当を受ける権利を有する。裁判所はその配当額を供託し、本登記の条件が具備された際に交付すべきである。
問題の所在(論点)
不動産競売手続において、抵当権設定仮登記の権利者は、本登記を具備していない段階で配当を受けることができるか。また、その場合の配当手続(供託の要否)をいかに解すべきか。
規範
不動産競売手続における仮登記ある抵当権の取り扱いについて、競売裁判所は、仮登記が本登記された場合に第三者に対抗することができる抵当権の順位及び内容に従って配当額を定めるべきである。その配当額については、民事訴訟法630条3項(現行の民事執行法等に相当)を類推適用し、これを供託すべきものとする。そして、後日その仮登記の本登記をするに必要な条件を具備するに至ったとき、これを仮登記権利者に交付すべきである。
重要事実
不動産の競売手続において、被上告人は当該不動産につき抵当権設定の仮登記を有していた。これに対し、競売裁判所は配当表において被上告人への配当額を定めたが、上告人は、被上告人がいまだ本登記をするに必要な条件を具備していないことを理由に、当該配当を取り消すべきであると主張して争った。
あてはめ
本件において、被上告人は抵当権の仮登記を有しており、将来本登記がなされればその順位を保存し第三者に対抗し得る地位にある。仮に現時点で本登記の条件が未成就であったとしても、そのことのみをもって配当表から排除されるべきではない。したがって、競売裁判所が仮登記の順位に基づき配当額を定め、それを供託するという手続をとることは適法である。
結論
抵当権設定仮登記の権利者が本登記の要件を未だ具備していない事実は、配当表における当該配当額を取り消すべき理由には当たらない。
実務上の射程
仮登記の順位保全効(不動産登記法106条)が配当手続においても及ぶことを確認した判例である。答案上は、仮登記権利者の優先弁済権を保護するための手続的構成(停止条件付債権に準じた供託)の根拠として利用する。現在は民事執行法91条1項2号が同様の趣旨を明文化しているため、本判例はその解釈指針として位置づけられる。
事件番号: 昭和41(オ)255 / 裁判年月日: 昭和47年6月30日 / 結論: 棄却
不動産の任意競売の申立人は、被担保債権につき、申立書に表示した債権の額に制限されないで、競売代金から配当を受けることができる。