抵当権の実行による不動産競売手続において配当表が作成された場合、配当期日に出頭した債務者又は抵当不動産の所有者が債権者の債権に対し異議を申し立て期日に異議が完結しなかつたときは、右債務者又は所有者は、配当表に対する異議の訴を提起することができる。
抵当権の実行による競売手続と債務者又は抵当不動産の所有者を原告とする配当異議訴訟の適否
民訴法698条,競売法33条2項
判旨
不動産競売手続において、債務者または抵当不動産の所有者は、債権者の債権に対し異議を申し立て、異議が完結しないときは、配当表に対する異議の訴えを提起することができる。
問題の所在(論点)
不動産競売手続(現行の民事執行法下における競売手続)において、債務者または抵当不動産の第三取得者等の所有者が、配当表に対する異議の訴えを提起する原告適格を有するか。
規範
債務者及び所有者は、競落代金が正当な受取人に交付されることについて重大な利害関係を有する。したがって、競落代金の配当段階において、これらの者に配当異議の訴えによる不服申立てを認めることは競売法の趣旨に合致し、その救済手段を債務不存在確認訴訟等に限定すべき理由はない。
重要事実
抵当権の実行による不動産競売手続において配当期日が開かれ、配当表が作成された。これに対し、期日に出頭した債務者または抵当不動産の所有者が債権者の債権(被担保債権)について異議を申し立てたが、配当期日において当該異議が完結しなかったため、債務者らが配当異議の訴えを提起した。
あてはめ
債務者や抵当不動産の所有者は、適正な配当が行われることにより、債務の消滅範囲や剰余金の受領権に直接の影響を受ける利害関係人である。本件においても、配当期日に出頭して異議を述べ、それが解決していない以上、配当異議の訴えを認めて実体的な債権の存否を争わせることが合理的である。表見代理の成立が否定され債権が存しない等の事情があるならば、配当表の更正を求める法的利益が認められる。
結論
債務者または抵当不動産の所有者は、配当表に対する異議の訴えを提起することができる。
実務上の射程
現行の民事執行法90条1項においても、配当異議の申立てができる「債権者」に加えて「債務者」が明記されているが、本判例は所有者(物上保証人や第三取得者)の原告適格をも認める根拠として機能する。答案上は、執行手続における手続保障と利害関係の調整の観点から、救済手段を広く認める趣旨で引用すべきである。
事件番号: 昭和29(オ)563 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
抵当権の実行による不動産競売手続において配当表が作成された場合、異議のある抵当権者は、抵当権者相互の抵当権の存否、順位、被担保債権の範囲及び競売手続において配当を受くべき金額等を主張して配当表に対する異議の訴訟を提起し得るものと解するを相当とする。