配当異議訴訟において、係争の配当部分について判決をする場合には、原告の有する債権額の限度において、これを原告に配当し、残余はこれを債務者に交付することを定めるべきである。
配当異議訴訟における配当方法。
民訴法636条
判旨
配当異議訴訟の判決の効力は訴訟当事者間でのみ生じ、認容判決に基づき配当表を更正する場合、異議を申し立てなかった他の債権者の債権は斟酌されず、原告に配当した残余は債務者に返還すべきである。
問題の所在(論点)
配当異議訴訟における認容判決の効力が、訴訟当事者以外の債権者にも及ぶのか、また、原告の債権額を超える剰余が生じた場合の処理はどうあるべきか(民事執行法157条、旧民事訴訟法566条関連)。
規範
配当異議訴訟の判決の効力は、当該訴訟の当事者である債権者間にのみ及ぶ(相対的効力)。そのため、配当異議訴訟において原告の請求が認容された場合、異議を申し立てなかった他の債権者の債権を斟酌することはできず、係争配当部分は原告の債権額の限度で原告に配当され、残余があるときは債務者に返還される。
重要事実
債権者である被上告人、上告人ら、および訴外Dは、債務者Eの供託金取戻請求権を差し押さえ、配当が行われた。被上告人は、上告人らの各債権が存在しないと主張して、上告人らに対する配当額を取り消し、自らへの配当を求める配当異議の訴えを提起した。事実認定の結果、上告人らの債権は存在しないことが判明した。
あてはめ
配当異議訴訟は対立する債権者間の配当順位や額を調整する手続であり、その判決効は当事者間に限定される。本件において、上告人らの債権が不存在であると確定した場合、その配当部分は本来、適法な債権者である被上告人に配当されるべきである。この際、訴訟に参加していない他の債権者の利害を考慮する必要はなく、被上告人の債権額を上限として配当を更正し、なお残余があれば債務者へ返還するのが相当である。上告人らの配当を取り消して被上告人へ配当を認めた原審の判断は、この相対的効力の原則に合致する。
結論
配当異議訴訟の効力は当事者間にのみ及び、認容された原告の債権額を限度として配当を更正すべきである(上告棄却)。
実務上の射程
配当異議訴訟の判決効が相対的であることを明示した重要判例である。答案上では、配当表更正の範囲(認容額の限度)や、配当に加わらなかった債権者・異議を述べていない債権者の扱いを論じる際の根拠として用いる。剰余金は債務者に帰属するという点も実務上重要である。
事件番号: 昭和36(オ)1119 / 裁判年月日: 昭和39年9月29日 / 結論: 棄却
債権者が債務者所有の不動産に対し仮差押執行後、債務者が右不動産の所有権を第三者に譲渡し、その登記を経由した場合には、右仮差押がそのまま本差押となつたときでも、その効力の利益をうける者は依然仮差押債権者のみにとどまり、その利益は、一般私債権者たると租税債権者たるとを問わず、配当要求をなした債権者におよぶものではない。