破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
破産者の財産に対する滞納処分手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方
国税徴収法82条,国税徴収法129条1項,国税徴収法133条1項,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項
判旨
破産者の財産に対する滞納処分手続において、破産宣告前に差押え(参加差押えを含む)がされていない交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
問題の所在(論点)
破産宣告前になされた滞納処分による差押えの手続において、破産宣告後になされた交付要求に係る配当金の帰属先(交付先)は、交付要求をした徴収権者か、それとも破産管財人か。
規範
破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がなされた場合、当該交付要求に係る請求権に基づき、破産宣告前に国税徴収法等による差押え(参加差押えが可能な場合はこれを含む)がなされていない限り、交付要求に係る配当金は破産管財人に交付すべきものと解する。
重要事実
1. 国税当局(上告人)は、滞納者Dの保証金返還請求権を滞納処分により差し押さえた。2. その後、Dは破産宣告を受け、被上告人が破産管財人に選任された。3. 破産宣告後、神戸市中央区長は上告人に対し、Dの滞納法人市民税等について交付要求を行った。4. 上告人は差押債権を取り立て、当該交付要求に係る税金に配当する処分を行ったが、神戸市中央区長は破産宣告前に当該債権の差押えを行っていなかった。
事件番号: 昭和58(行ツ)75 / 裁判年月日: 昭和61年6月10日 / 結論: 破棄自判
第三者甲が、地方税法一九条に規定する処分につき、当該処分の取消訴訟において原告乙の主張する事由と同一の事由に基づいて審査請求手続を経ていたとしても、甲と乙とが当該処分に対し一体的な利害関係を有し、実質的にみれば甲のした審査請求は同時に乙のための審査請求でもあるといえるような特段の事情がない限り、右甲による審査請求手続の…
あてはめ
本件において、神戸市中央区長が交付要求を行ったのは破産宣告後である。また、同区長は破産宣告前において、本件保証金返還請求権について滞納処分による差押え(または参加差押え)を行っていなかったことが認められる。そうであれば、先行する上告人の差押手続において生じた配当金のうち、同区長の交付要求に係る部分は、同区長が直接受領することはできず、破産債権者全体の代表である破産管財人に交付されるべきであると評価される。
結論
本件配当金は破産管財人に交付すべきであり、徴収権者(神戸市中央区長)へ配当した処分は違法である。
実務上の射程
滞納処分と破産手続の調整に関する準則を示す。破産宣告前に差押えという「別除権」に準ずる強力な地位を確保していない徴収権者は、破産宣告後の交付要求によって他の債権者に優先して配当を受けることはできず、管財人による清算手続に服すべきであることを明確にした。実務上、交付要求のタイミングと先行差押えの有無を確認する際の決定的な指針となる。
事件番号: 平成11(許)40 / 裁判年月日: 平成12年4月28日 / 結論: 破棄自判
破産者が株式会社である場合を含め、破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき別除権者がその放棄の意思表示をすべき相手方は、破産者である。