第三者甲が、地方税法一九条に規定する処分につき、当該処分の取消訴訟において原告乙の主張する事由と同一の事由に基づいて審査請求手続を経ていたとしても、甲と乙とが当該処分に対し一体的な利害関係を有し、実質的にみれば甲のした審査請求は同時に乙のための審査請求でもあるといえるような特段の事情がない限り、右甲による審査請求手続の経由をもつて原告乙の訴えにつき審査請求手続の経由があつたものということはできない。
第三者甲が地方税法一九条に規定する処分につき審査請求手続を経た場合と乙の提起した当該処分の取消訴訟についての審査請求手続経由の有無
行政事件訴訟法8条1項ただし書,地方税法19条の12
判旨
行政不服審査請求の前置が定められている場合、原則として訴訟提起者自身が手続を経る必要があるが、他者の請求が実質的に訴訟提起者のためのものといえる特段の事情があれば、前置要件を満たす。債権者と連帯保証人の関係にあるにすぎない場合は、当該特段の事情は認められない。
問題の所在(論点)
行政不服申立の前置要件(地方税法19条の12、行訴法8条1項柱書)に関し、訴訟提起者以外の者が審査請求を行っていた場合に、当該要件の充足を認めることができるか。
規範
行政事件訴訟法において不服申立手続の前置が定められている場合、原則として訴訟提起者自身が当該手続を経ていることを要する。ただし、訴訟提起者と他の審査請求人とが当該処分に対し一体的な利害関係を有し、実質的にみれば当該他者の審査請求が同時に訴訟提起者のための審査請求でもあるといえるような「特段の事情」が存する場合には、例外的に前置要件を満たすと解する。
重要事実
地方税法19条の12に基づき審査請求の前置が要求される配当処分に対し、連帯保証人である被上告人が自ら審査請求を行わずに処分の取消訴訟を提起した。一方で、主債務者である訴外会社は、被上告人と同一の理由に基づき審査請求を行い、棄却裁決を受けていた。原審は、両者の主張が同一であることを理由に前置要件の充足を認めたため、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 平成8(行ツ)111 / 裁判年月日: 平成9年12月18日 / 結論: 棄却
破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
あてはめ
本件において、訴外会社(主債務者)と被上告人(連帯保証人)は、債権者と連帯保証人の関係にあるにすぎない。このような関係にある両者は、配当処分に対して必ずしも一体的な利害関係を有しているとはいえない。したがって、他者の審査請求が実質的に訴訟提起者のための審査請求であるといえるような「特段の事情」は認められない。同一の理由で争っているという事実は、直ちに利害の一体性を基礎付けるものではないと解される。
結論
本件訴えは、訴訟提起者自身が審査請求の手続を経ておらず、かつ特段の事情も認められないため、不服申立前置の要件を欠き不適法である。
実務上の射程
行政事件訴訟法8条1項但書の「不服申立てに対する裁決を経ないで訴えを提起することができる」場合ではない、前置が強制される個別法がある事案において、原告適格を有する複数の者がいる場合の処理として有用。共同相続人や共有者のように、権利関係が不可分・一体的な場合に限定して本判決の「特段の事情」を肯定する余地がある。
事件番号: 平成13(受)91 / 裁判年月日: 平成13年10月25日 / 結論: 棄却
抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は,他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできない。