国税徴収法八三条違反の有無は、同法八二条に基づく交付要求の効力を左右しない。
国税徴収法八三条に違反した交付要求の効力
国税徴収法82条,国税徴収法83条
判旨
国税徴収法82条に基づく交付要求の通知を要する「第三者」に動産売買先取特権者は含まれず、また、同法83条は訓示的規定であって、交付要求の解除請求の終期は競売期日の終了時までと解される。
問題の所在(論点)
1. 交付要求に際し通知を要する第三者に動産売買先取特権者が含まれるか。2. 国税徴収法83条の規定は効力規定か。3. 交付要求解除請求(85条)をなしうる期間の終期はいつか。
規範
1. 国税徴収法82条3項が準用する55条所定の通知を必要とする第三者には、動産売買の先取特権者は含まれない。2. 同法83条は訓示的規定であり、同条違反は交付要求の効力を左右しない。3. 同法85条による交付要求解除請求の終期は、動産の強制競売手続においては「競売期日の終了時」までである。
重要事実
上告人は民法311条6号所定の動産売買による先取特権を有していた。税務当局は本件動産に対し国税徴収法82条に基づく交付要求を行ったが、その際、上告人に対する通知(同法55条準用)は行われなかった。また、交付要求が同法83条に違反する疑いがある状況で、上告人は競売期日の終了後に交付要求解除請求(同法85条)を行ったが棄却された。上告人は、これらの手続違背を理由に国家賠償請求等を提起した。
あてはめ
1. 50条1項等の規定に照らし、通知を要する第三者に動産売買先取特権者は含まれないと解するのが正当である。2. 83条は、一旦交付要求がなされてもほぼ同一の要件で容易に解除請求(85条)が可能であるという制度趣旨に鑑み、訓示的規定と解される。したがって、同条違反があっても国家賠償法上の違法性は認められない。3. 交付要求解除請求は交付要求が可能な終期までになされるべきところ、動産競売では競売期日の終了時をもってその終期とするのが相当である。本件解除請求は競売期日終了後になされており、失当である。
結論
本件交付要求および解除請求の棄却処分に違法はなく、上告人の国家賠償請求および上告はいずれも棄却される。
実務上の射程
滞納処分と強制執行の調整に関する重要判例。答案上は、交付要求の手続的瑕疵を論じる際に83条の訓示規定性を引用するほか、解除請求の時期的限界(競売期日終了時)を画定する基準として用いる。通知を要する「第三者」の範囲の限定についても参照される。
事件番号: 昭和63(オ)1453 / 裁判年月日: 平成5年3月30日 / 結論: 棄却
動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者甲が、物上代位の目的たる債権につき仮差押えをした後、右債権につき債権者乙による差押えがあつたため第三債務者が民事執行法(平成元年法律第九一号による改正前のもの)一五六条二項、一七八条五項に基づく供託をした場合において、甲が右供託前に更に物上代位権の行使として右債権の差押…