不動産競売手続において、国税徴収法二二条五項に基づく交付要求により配当を受けるためには、配当要求の終期までにこれをしなければならない。
不動産競売手続において国税徴収法二二条五項の交付要求をすべき時期
国税徴収法22条,国税徴収法82条,民事執行法49条,民事執行法87条1項,民事執行法188条
判旨
国税徴収法22条5項に基づく交付要求は、他の執行機関による強制換価手続に参入するものである以上、特段の定めがない限り当該手続上の制限に従うべきであり、民事執行法上の配当要求の終期までにしなければならない。
問題の所在(論点)
国税徴収法22条5項に基づく交付要求につき、民事執行法が定める配当要求の終期という時間的制限が適用されるか。同法22条1項の譲渡担保等類似の徴収権能の性質が問題となる。
規範
国税徴収法22条5項に基づく交付要求は、税務署長が自ら強制換価手続を行うのではなく、既に進行している他の強制換価手続に参入して債権の満足を得ようとするものである。したがって、特段の法令の定めがない限り、当該強制換価手続の制限に従うべきであり、不動産競売手続においては民事執行法上の配当要求の終期までに当該交付要求をする必要がある。これに遅れた交付要求に基づき配当を受けることはできない。
重要事実
納税者Eは、自己の所有する不動産(本件不動産)に所得税の法定納期限後に抵当権を設定し、その後第三者に譲渡した。抵当権者(被上告人)の申立てにより本件不動産の競売手続が開始されたが、税務署長が国税徴収法22条5項に基づき交付要求を行ったのは、執行裁判所が定めた配当要求の終期である昭和60年4月21日を経過した同年5月13日であった。
あてはめ
本件交付要求は、質権者や抵当権者が配当として受けるべき金額に対し、国税の特別徴収権能を認めたものである。これは同法82条の交付要求と同様、他者の執行手続に参入する性質を有している。本件では、競売手続における配当要求の終期が昭和60年4月21日と定められていたにもかかわらず、税務署長が交付要求をしたのはその終期後である。したがって、手続上の制限に違反しており、当該不動産の売却代金から配当を受けることはできないといえる。
結論
国税徴収法22条5項に基づく交付要求は、配当要求の終期後にされた場合には効力を有さず、国は配当を受けることができない。
実務上の射程
徴収法上の交付要求全般の性質(他人の手続への参入)を明らかにしたものであり、租税法のみならず民事執行法上の配当手続の安定性を重視する場面で射程が及ぶ。答案上は、特別の徴収権能であっても執行法上の期間制限を免れるものではないことを指摘する際に活用できる。
事件番号: 昭和47(オ)451 / 裁判年月日: 昭和49年8月6日 / 結論: 棄却
国税徴収法八三条違反の有無は、同法八二条に基づく交付要求の効力を左右しない。