共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか
民法427条,民法898条,民法899条
判旨
共同相続された普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
問題の所在(論点)
普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権は、相続開始により当然に相続分に応じて分割され、各共同相続人が単独で権利行使できるか(遺産分割の対象となるか)。
規範
共同相続された普通預金債権は当然に分割されない(最大決平28.12.19)。また、定期預金債権及び定期積金債権についても、契約上分割払戻しが制限されており、かつ単独で権利行使を認める意義が乏しいことから、当然に相続分に応じて分割されることはない。
重要事実
亡Cが死亡し、その子である被上告人と上告補助参加人Bが共同相続人となった。Cは死亡時、信用金庫である上告人に対し、普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権を有していた。被上告人は上告人に対し、これらの債権を相続分に応じて分割取得したとして、法定相続分相当額の支払を求めた。
事件番号: 平成27(許)11 / 裁判年月日: 平成28年12月19日 / 結論: 破棄差戻
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。 (補足意見及び意見がある。)
あてはめ
普通預金については先行する大法廷決定の理が妥当する。定期預金は、1口ごとに預金契約が成立し、解約なしに払戻しができないという分割払戻しの制限が契約の要素となっており、高利率の前提である。仮に分割を認めても、制限がある以上は共同して払戻しを求めざるを得ず、単独で行使する意義に乏しい。この性質は定期積金についても同様である。したがって、これらの債権は当然分割の対象とはならない。
結論
本件各預金等債権は当然分割されないため、被上告人の請求は認められない。
実務上の射程
最大決平成28年12月19日が示した普通預金の結論を、定期預金および定期積金にも拡張した。答案上は、金銭債権であっても預貯金債権については「当然分割」の原則を否定し、遺産分割協議の対象となることを明示する際に用いる。
事件番号: 平成24(受)2675 / 裁判年月日: 平成26年12月12日 / 結論: 棄却
共同相続された委託者指図型投資信託の受益権につき,相続開始後に元本償還金又は収益分配金が発生し,それが預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合,上記預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく,共同相続人の1人は,上記販売会社に対し,自己の相続分に相当する金員の支…