普通地方公共団体は,平成12年法律第89号による改正により地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項及び13項の政務調査費の制度が設けられた後においても,地方議会の会派に対し,同条12項に定める「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象として,地方自治法232条の2に基づき,補助金を交付することができる。
地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項及び13項の政務調査費の制度が設けられた後において,普通地方公共団体が地方議会の会派に対し,地方自治法232条の2に基づき補助金を交付することの可否
地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条13項,地方自治法232条の2
判旨
平成12年改正後の地方自治法100条においても、政務調査費の対象である「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費については、同法232条の2に基づき議会会派に対して補助金を交付することが可能である。
問題の所在(論点)
地方自治法100条(旧12項等)の政務調査費制度が設けられた後において、普通地方公共団体が同条所定の「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象として、同法232条の2に基づき議会会派に補助金を交付することの可否。
規範
地方自治法100条(旧12項・13項)による政務調査費制度の導入後、会派に対する助成のうち「調査研究に資するため必要な経費」については、条例に基づく政務調査費としてのみ交付が可能であり、同法232条の2に基づく補助金としての交付は許容されない。しかし、同制度は上記以外の経費に対する補助を禁止する趣旨ではない。したがって、上記「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象とする補助金は、同法232条の2に定める「公益上必要がある場合」に該当する限りにおいて、適法に交付し得る。
重要事実
事件番号: 平成21(行ヒ)234 / 裁判年月日: 平成22年2月23日 / 結論: その他
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,次の1,2など判示の事情の下では,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係…
京都府は、条例に基づく政務調査費とは別に、要綱に基づき議会会派に対し「会派運営費」として人件費、事務費、慶弔費、会議費等の補助金を交付していた。被上告人(NPO法人)は、会派に対する補助金交付は地方自治法100条の趣旨に反し違法であると主張して、不当利得返還請求等を怠る事実の違法確認を求めて住民訴訟を提起した。原審は、100条の制度趣旨から会派への助成は政務調査費に限定されると判断し、本件交付を違法とした。
あてはめ
平成12年改正の趣旨は、調査研究活動の基盤充実と透明性確保のため、当該経費の助成を制度化した点にある。本件で交付された「会派運営費」は、要綱上、政務調査費の対象である調査研究に資する経費を除外しており、100条所定の経費以外のものを対象としている。同法100条には上記以外の経費の補助を禁止する規定はなく、立法過程でも禁止の検討はなされていない。したがって、本件経費が「調査研究に資するため必要な経費」に該当せず、かつ「公益上の必要性」が認められるならば、直ちに違法とはいえない。
結論
原審の判断には法令の解釈を誤った違法がある。本件会派運営費が100条の対象経費以外のものか、及び232条の2の公益上の必要性を満たすかを審理させるため、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
地方自治体による議会・会派への公金支出の適法性を検討する際、支出の性質が「調査研究活動(現行の政務活動)」に該当するか否かで、依拠すべき根拠条文(100条か232条の2か)を使い分ける判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 平成19(行ヒ)170 / 裁判年月日: 平成21年7月7日 / 結論: 破棄差戻
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係る調査研究活動を会派のためのものと…
事件番号: 令和2(行ヒ)335 / 裁判年月日: 令和3年12月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】政務活動費の収支報告書上の支出の一部に使途基準適合性を欠くものがあっても、支出総額から不適法な額を控除した額が交付額を上回る場合には、交付を受けた会派は不当利得返還義務を負わない。 第1 事案の概要:岡山市議会の会派(ネクスト岡山、市民ネット)は、市から政務活動費の交付を受けた。各会派は年度末に収…
事件番号: 平成22(行ヒ)42 / 裁判年月日: 平成25年1月25日 / 結論: その他
1 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の控訴の提起に係る控訴提起手数料の印紙代及び予納すべき送達費用の切手代の政務調査費からの支出は,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条及び別表の定める使途基準の調査研究費又は他の項目に該当せず,…