市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係る調査研究活動を会派のためのものとして当該議員にゆだね又は会派のための活動として承認する趣旨のものと認める余地があり,そのように認めることができるかどうかなどの点について十分に審理することなく,議員が行う調査研究活動は上記の承認があるだけでは「会派が行う」ものとはいえないとし,上記の支出は上記の定めに適合しないとした原審の判断には,違法がある。
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,議員が行う調査研究活動は所属会派の代表者の承認があるだけでは「会派が行う」ものとはいえないとし,上記の支出は上記の定めに適合しないとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項,函館市議会政務調査費の交付に関する条例(平成13年函館市条例第6号)5条,
判旨
政務調査費の使途基準にいう「会派が行う」調査研究活動には、会派が自ら行うもののほか、所属議員に委ね、又は所属議員による活動を会派のためのものとして承認する方法によるものも含まれる。会派の内部手続に特別の定めがない限り、代表者が会派の名でした行為は、会派自らの行為と評価される。
問題の所在(論点)
地方自治法に基づく政務調査費(現・政務活動費)の使途基準において、支出の対象となる調査研究活動が「会派が行う」ものであるといえるための要件、特に所属議員による活動を会派が承認・追認する形式がこれに該当するか。
規範
政務調査費の使途基準における「会派が行う」調査研究活動の要件は、会派がその名において自ら行う場合に限られない。会派が所属議員等に活動を委ねるか、又は所属議員による調査研究活動を会派のためのものとして承認する方法によって行う場合もこれに含まれる。また、会派に特段の内部規程がない限り、代表者が会派の名においてした承認等の行為は、原則として会派自らの行為と評価される。
事件番号: 平成21(行ヒ)234 / 裁判年月日: 平成22年2月23日 / 結論: その他
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,次の1,2など判示の事情の下では,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係…
重要事実
函館市議会の会派(本件各会派)は、所属議員が研修会参加や資料購入等の調査研究活動を行う際、個々の議員の申請に基づき、会派の代表者及び経理責任者がその内容と支出額を承認した上で、政務調査費から金員を交付した。これに対し、住民側が、これらは議員個人の活動であり、使途基準(「会派が行う」活動に要する経費)に違反する違法な支出であるとして、不当利得返還請求を怠る事実の違法確認等を求めて提訴した。原審は、会派としての意思統一や了承がない限り「会派が行う」活動とはいえないとして請求を一部容認した。
あてはめ
本件各会派の代表者が行った承認は、会派の名において、所属議員の発案や申請に係る調査研究活動を「会派のためのもの」として当該議員に委ね、あるいは承認する趣旨のものと認められる余地がある。会派は議員によって組織される団体であり、代表者の行為は特段の事情がない限り会派自体の行為と評価されるため、単に代表者の承認があるにすぎないことをもって「会派が行う」活動ではないと断ずることはできない。したがって、個別の支出が会派のための活動として承認された実態があるかを審理すべきである。
結論
代表者が所属議員の活動を会派のためのものとして承認している場合には、使途基準にいう「会派が行う」活動の要件を満たす。原審の判断には法令の違反があるため、本件を差し戻す。
実務上の射程
政務活動費(旧・政務調査費)の「会派への交付」と「議員個人への支出」の関係を整理した重要判例。会派の代表者による事後的・個別的な承認手続であっても、実質的に会派の活動として評価できれば有効とされる。ただし、あくまで「市政に関する調査研究に資するため必要な経費」であるという実体的な適格性は別途必要となる点に注意を要する。
事件番号: 平成25(行ヒ)562 / 裁判年月日: 平成28年6月28日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体は,平成12年法律第89号による改正により地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項及び13項の政務調査費の制度が設けられた後においても,地方議会の会派に対し,同条12項に定める「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象として,地方自治法232条の2に基づき,補助金を交付…
事件番号: 平成15(行ヒ)299 / 裁判年月日: 平成18年1月19日 / 結論: その他
県が,県議会議員の職にあった者の功労に報いるとともにその者らに引き続き県政の発展に寄与してもらう趣旨で,その者らのうち会則の趣旨に賛同する者を会員とする元県議会議員会の事業を補助するために補助金を交付した場合において,同補助金の対象となった事業がいずれも同会の会員を対象とした内部的な行事等であってその事業自体に公益性を…
事件番号: 平成17(行ヒ)304 / 裁判年月日: 平成20年1月18日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体が,土地開発公社との間で締結した土地の先行取得の委託契約に基づく義務の履行として,当該土地開発公社が取得した当該土地を買い取る売買契約を締結する場合であっても,次の(1)又は(2)のときには,当該売買契約の締結は違法となる。 (1) 上記委託契約を締結した普通地方公共団体の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱…
事件番号: 平成21(行ヒ)162 / 裁判年月日: 平成21年12月17日 / 結論: 破棄自判
市が土地開発公社に対し土地の先行取得を委託する契約が,私法上無効とはいえず,また市にその取消権又は解除権があるとはいえないものの,著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合であっても,次の(1),(2)など判示の事情の下では,客観的にみて市が上記委託契約を解消すること…