1 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の控訴の提起に係る控訴提起手数料の印紙代及び予納すべき送達費用の切手代の政務調査費からの支出は,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条及び別表の定める使途基準の調査研究費又は他の項目に該当せず,同使途基準に適合しない。 2 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の証拠及び参考にするとして区長から開示を受けた区の機関の議事に係る録音テープの反訳及び複製の費用並びに当該住民訴訟の尋問期日における関係者の証言及び供述の反訳費用の政務調査費からの支出は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条及び別表の定める使途基準の資料作成費又は広報費に該当するとみることができ,同使途基準に適合しないとはいえない。 (1) 当該区議会議員は,当該住民訴訟において上記機関の決定を経た区による公有地の売却が違法であるなどと主張するとともに,区議会の審議においてその売却の問題点を究明して議論の対象とするためにその売却に関する質問をするなどの議会活動を行っている。 (2) 上記各反訳等により文書化された資料は,当該住民訴訟とは別途に,当該区議会議員が現に行っている上記の議会活動に関して,同議員の参加する質疑等の議会審議に必要な資料として用いることができるものであり,また,その内容が同議員自身のホームページ等や広報紙に掲載され,上記の議会活動の広報に供する資料として用いられているとみることができるものである。
1 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の控訴の提起に係る訴訟費用の政務調査費からの支出が,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条及び別表の定める使途基準に適合しないとされた事例 2 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の証拠及び参考にするとして区長から開示を受けた区の機関の議事に係る録音テープの反訳及び複製の費用並びに当該住民訴訟の尋問期日における関係者の証言及び供述の反訳費用の政務調査費からの支出が,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条及び別表の定める使途基準に適合しないとはいえないとされた事例
(1,2につき)地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条13項,目黒区政務調査費の交付に関する条例(平成13年目黒区条例第5号。平成18年目黒区条例第62号による改正前のもの)10条,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)別表
判旨
政務調査費による住民訴訟の提起・追行費用の支出は、本来の目的や性質を異にするため原則として認められない。もっとも、訴訟を端緒に得られた情報・資料を別途議会活動や広報等に用いるための文書化費用等は、合理的関連性が認められ、使途基準に適合し得る。
問題の所在(論点)
事件番号: 平成21(行ヒ)214 / 裁判年月日: 平成22年3月23日 / 結論: 破棄差戻
市議会の議員に交付する政務調査費の使途基準を調査研究に必要な経費と定めるかすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号。平成20年かすみがうら市規則第17号による改正前のもの)の下で,議員らが交付を受けた政務調査費から物品を購入するためにした支出につき,上記議員らが,任期中の最後の議…
住民訴訟の提起・追行に関する費用支出が、条例・規程に基づく政務調査費の「調査研究費」等の使途基準に適合するか(合理的関連性の有無)。
規範
地方自治法100条13項に基づく政務調査費の使途は、議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性が認められる経費に限られる。住民訴訟の提起・追行は、地方議会制度とは別個独立の司法手続であり、客観的にみて議会活動の基礎となる調査研究活動とは本来の目的・性質を異にするため、これらそれ自体のための費用支出は合理的関連性が認められない。ただし、訴訟を端緒として取得した資料等を、訴訟追行とは別途、議会活動(質疑、資料作成、広報等)に用いるために支出された費用については、使途基準に適合し得る。
重要事実
目黒区議会議員であるXは、区による跡地売却が違法であるとして住民訴訟を提起した。Xは交付された政務調査費から、(1)情報公開請求で得た委員会の録音テープの反訳費用(本件支出1)、(2)住民訴訟での証人尋問の反訳費用(本件支出2)、(3)住民訴訟の控訴提起にかかる印紙代・切手代(本件支出3)を支出した。Xは、これらにより得た情報を自身のホームページや広報紙に掲載し、議会での一般質問にも活用していた。目黒区長は、これらがいずれも使途基準外であるとして返還命令処分を行った。
あてはめ
本件支出3は、住民訴訟の控訴提起それ自体のための費用であり、議会活動の基礎となる調査研究活動との合理的関連性は認められず、使途基準に適合しない。これに対し、本件支出1及び2は、訴訟を端緒として得られた内容を文書化する費用であるが、Xはこれらを活用して実際に議会での質疑や区民への広報活動を行っている。したがって、これらの資料作成費用は、訴訟追行とは別途、現に行われている議員としての議会活動や広報に供する資料作成のために支出されたものと評価でき、資料作成費や広報費として合理的関連性が認められる。
結論
本件支出1及び2に係る返還命令処分は実体法上違法であるが、本件支出3に係る部分は適法である。原判決のうち、本件支出3の返還命令を取り消した部分は破棄を免れない。
実務上の射程
住民訴訟と議会活動の峻別を示す。訴訟そのもののコスト(印紙代、弁護士費用等)は政務調査費の対象外となるが、訴訟で得た情報の二次利用(議会報告や質問準備)のための実費については、具体的な活用実態があれば認められる余地がある。答案では、支出の客観的目的が「司法手続の追行」か「議会活動への活用」かを事実に基づいて分ける必要がある。
事件番号: 平成25(行ヒ)562 / 裁判年月日: 平成28年6月28日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体は,平成12年法律第89号による改正により地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)100条12項及び13項の政務調査費の制度が設けられた後においても,地方議会の会派に対し,同条12項に定める「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象として,地方自治法232条の2に基づき,補助金を交付…
事件番号: 平成17(行ヒ)304 / 裁判年月日: 平成20年1月18日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体が,土地開発公社との間で締結した土地の先行取得の委託契約に基づく義務の履行として,当該土地開発公社が取得した当該土地を買い取る売買契約を締結する場合であっても,次の(1)又は(2)のときには,当該売買契約の締結は違法となる。 (1) 上記委託契約を締結した普通地方公共団体の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱…
事件番号: 平成22(行ヒ)175 / 裁判年月日: 平成23年12月2日 / 結論: 破棄自判
市が賃借人として締結した土地賃貸借契約が,従前は市が所有し,賃貸人の要求に応じて賃貸人に譲渡した土地を対象とするものであり,また,賃借人の側から更新をすることができず,賃料の減額も制限されるなど,賃貸人に有利なものである場合であっても,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,当該契約に基づく市長による賃料の支出…
事件番号: 平成16(行ヒ)312 / 裁判年月日: 平成18年4月25日 / 結論: 破棄自判
市の施行する予定の土地区画整理事業は違法であると主張し,市作成の平成13年度一般会計歳入歳出決算書の抜粋等を添付して,同年度に同事業のために支出された公金を市に返還し,今後もこのような不当,違法な事業に対し公金を支出しないよう適切な措置を求める旨の住民監査請求につき,1 上記事業にかかわる公金の支出を全体として一体とみ…