市議会の議員に交付する政務調査費の使途基準を調査研究に必要な経費と定めるかすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号。平成20年かすみがうら市規則第17号による改正前のもの)の下で,議員らが交付を受けた政務調査費から物品を購入するためにした支出につき,上記議員らが,任期中の最後の議会の会期後を含む任期満了1ないし4か月半前の時期にパソコンやビデオカメラなどの比較的高額な物品を購入するために上記支出をし,任期満了による選挙に立候補することなく議員としての任期を終えたなど判示の事情の下において,上告人から,上記議員らは10年から20年以上にわたる議員としての経歴を有するところ,上記のような手元に残る物品を在職中初めて購入したり緊急の必要性もなく買い換えたりしたとの主張がされており,その主張に係る事実が認められれば,上記支出は,調査研究のための必要性に欠けるものであったことがうかがわれ,特段の事情のない限り上記使途基準に合致しない違法なものとなるにもかかわらず,上記主張に係る事実の存否や上記特段の事情の有無について十分に審理することなく,単に上記物品の品名を認定するなどしただけで直ちに上記支出が上記使途基準に反するものとはいえないとした原審の判断には,違法がある。
市議会の議員に交付する政務調査費の使途基準を調査研究に必要な経費と定めるかすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号。平成20年かすみがうら市規則第17号による改正前のもの)の下で,議員らが交付を受けた政務調査費から物品を購入するためにした支出につき,その支出が調査研究のための必要性に欠けるものであったことをうかがわせる上告人主張の事実の存否等について十分に審理することなく,単に上記物品の品名を認定するなどしただけで直ちに上記支出が上記使途基準に反するものとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条13項,かすみがうら市議会政務調査費の交付に関する条例(平成17年かすみがうら市条例第6号。平成20年かすみがうら市条例第15号による改正前のもの)7条,かすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号。平成20年かすみがうら市規則第17号による改正前のもの)5条,かすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号。平成20年かすみがうら市規則第17号による改正前のもの)別表第2
判旨
政務調査費の交付を受けた議員が、その使途の透明性を確保するために求められる領収書等の提出義務を怠り、かつ具体的な使途を説明できない場合であっても、当該支出が直ちに地方自治法232条の2等の法令に違反して無効となるとまではいえない。
問題の所在(論点)
政務調査費を充当して備品等を購入した議員が、領収書等の証拠書類を提出せず、かつ使途を具体的に説明できない場合、当該支出は地方自治法及び関連条例に違反し、違法となるか。
事件番号: 平成22(行ヒ)42 / 裁判年月日: 平成25年1月25日 / 結論: その他
1 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の控訴の提起に係る控訴提起手数料の印紙代及び予納すべき送達費用の切手代の政務調査費からの支出は,目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。平成18年目黒区議会告示第1号による改正前のもの)5条及び別表の定める使途基準の調査研究費又は他の項目に該当せず,…
規範
政務調査費の支出が適法であるためには、条例の定めに従い、調査研究のために必要な経費として使用される必要がある。他方で、地方自治法に基づく政務調査費の運用において、領収書等の不提出や使途説明の具体性の欠如という事態が生じたとしても、そのことのみをもって直ちに当該支出が公金支出の趣旨を逸脱した違法なものと断定することはできない。支出の違法性を認めるためには、当該支出が調査研究以外の目的に費消されたこと、または調査研究に必要とされる範囲を明らかに逸脱していることが客観的な証拠等に照らして認められる必要がある。
重要事実
議員らは、平成15年度から17年度にかけて、政務調査費からパソコン、プリンター、ビデオカメラ等の備品(本件各備品)を購入するために計110万5500円を支出した。しかし、当該議員らはこれら備品に係る領収書等を提出しておらず、その具体的な使途についての調査に対しても「調査研究活動のために利用した」という抽象的な回答に留まっていた。住民側は、領収書の不提出や具体的な説明の欠如は政務調査費の使途基準に違反するものであり、当該支出は違法であると主張して、不当利得返還請求等を求めた。
あてはめ
本件において、議員らが領収書を提出せず、使途の説明も抽象的であることは、政務調査費の使途の透明性を図るべき制度の趣旨に照らせば不適切といえる。しかし、政務調査費の交付主体はあくまで会派等であり、その執行の細部については会派の裁量に委ねられている側面がある。判決によれば、不提出等の事実があるからといって、直ちにそれらが調査研究以外の目的に使用されたとまで推認することは困難である。また、本件各備品の性質(パソコン等)からして、調査研究活動に利用される可能性が否定できない以上、客観的に見て調査研究の範囲を明らかに逸脱した不適法な公金支出であると断定するための立証が尽くされているとはいえない。
結論
領収書の不提出や使途説明の不備のみをもって、当該政務調査費の支出を直ちに法令違反・違法と解することはできず、返還請求は認められない。
実務上の射程
行政事件訴訟や住民訴訟における公金支出の違法性判断において、手続上の不備(領収書欠如)と実体上の違法(目的外使用)を峻別する基準として機能する。
事件番号: 平成21(行ヒ)234 / 裁判年月日: 平成22年2月23日 / 結論: その他
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,次の1,2など判示の事情の下では,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係…
事件番号: 平成26(行フ)3 / 裁判年月日: 平成26年10月29日 / 結論: 破棄自判
岡山県議会の議員が県から交付された政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿は,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。 (1) 岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第4…
事件番号: 平成19(行ヒ)170 / 裁判年月日: 平成21年7月7日 / 結論: 破棄差戻
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,上記の承認は,会派の名において議員の発案,申請に係る調査研究活動を会派のためのものと…
事件番号: 平成17(行ヒ)304 / 裁判年月日: 平成20年1月18日 / 結論: 破棄差戻
普通地方公共団体が,土地開発公社との間で締結した土地の先行取得の委託契約に基づく義務の履行として,当該土地開発公社が取得した当該土地を買い取る売買契約を締結する場合であっても,次の(1)又は(2)のときには,当該売買契約の締結は違法となる。 (1) 上記委託契約を締結した普通地方公共団体の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱…