破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして,上記死亡保険金受取人の破産財団に属する。
破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権と破産財団への帰属
破産法34条2項,保険法42条
判旨
破産手続開始前に成立した生命保険契約に基づき、破産者である死亡保険金受取人が有する請求権は、破産法34条2項の「将来の請求権」に該当し、破産財団に属する。
問題の所在(論点)
破産手続開始前に締結された生命保険契約に基づき、開始決定後に被保険者が死亡して発生した死亡保険金請求権が、破産法34条2項の「将来の請求権」として破産財団に属するか。
規範
第三者のためにする生命保険契約の受取人は、契約成立により、期間内に被保険者が死亡することを停止条件とする死亡保険金請求権を取得する。この権利は、被保険者の死亡前であっても、受取人による処分や一般債権者による差押えが可能であり、一定の財産的価値を有している。したがって、破産手続開始前に成立した当該契約に基づく死亡保険金請求権は、破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当し、破産財団に属する。
重要事実
上告人Y1及びAは平成24年3月14日に破産手続開始決定を受けた。Y1らの長男Bは、平成16年及び23年に、自身を被保険者、Y1(及びA)を死亡保険金受取人とする生命保険(共済)契約を締結していた。Bは開始決定後の同年4月25日に死亡し、Y1は保険金等合計2400万円を受領した。Y1は弁護士Y2の助言に基づき、うち1000万円を費消した。破産管財人である被上告人らが、当該保険金請求権は破産財団に属するとして、不当利得返還(Y1)及び不法行為に基づく損害賠償(Y2)を求めた。
事件番号: 平成13(オ)734 / 裁判年月日: 平成16年3月25日 / 結論: その他
1 生命保険契約に係る保険約款中の保険者の責任開始の日から1年内に被保険者が自殺した場合には保険者は死亡保険金を支払わない旨の定めは,責任開始の日から1年経過後の被保険者の自殺による死亡については,当該自殺に関し犯罪行為等が介在し,当該自殺による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事…
あてはめ
本件各保険契約はいずれも本件開始決定前に成立しており、受取人は開始決定時点で既に停止条件付の請求権を有していたといえる。この権利は、開始決定前に生じた契約関係という「原因」に基づいて将来行使され得る性質のものである。したがって、開始決定後に被保険者Bが死亡し、停止条件が成就したことで具現化した本件保険金等請求権は、本件各破産財団に属する。これを費消したY1は法律上の原因なく利得し、費消を助言した弁護士Y2は注意義務違反を免れない。
結論
本件保険金請求権は破産財団に属するため、受取人である破産者がこれを受領・費消することは不当利得を構成し、助言した弁護士も損害賠償責任を負う。
実務上の射程
破産手続開始時に被保険者が生存していても、受取人が破産者である限り、その期待権的性格を持つ請求権は財団債権化する。答案上は、破産財団の範囲(破産法34条2項)の解釈として、自由財産に該当しないことを論証する際に用いる。
事件番号: 平成1(オ)297 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
不法行為により死亡した者の得べかりし普通恩給及び国民年金(老齢年金)は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し、加害者に対してその賠償を請求することができる。
事件番号: 昭和30(オ)112 / 裁判年月日: 昭和32年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】補償契約の対象物件及び権利の所在が同一であれば、一方の契約主体が個人であり、他方の契約主体が当該個人の代表する会社であっても、二重契約を禁止する定款所定の「他に損害補償の契約をなした場合」に該当する。 第1 事案の概要:上告人は、自己が所有しない建物・商品・什器等(実際は上告人が代表を務めるE社の…
事件番号: 昭和56(オ)927 / 裁判年月日: 昭和59年2月2日 / 結論: 破棄自判
先取特権者は、債務者が破産宣告を受けた場合であつても、目的債権を差し押えて物上代位権を行使することができる。
事件番号: 平成17(受)1344 / 裁判年月日: 平成18年1月23日 / 結論: 棄却
1 破産者は,破産手続中に自由財産の中から破産債権に対して任意の弁済をすることを妨げられない。 2 地方公務員共済組合の組合員の破産手続中にその自由財産である退職手当の中から地方公務員等共済組合法115条2項所定の方法により組合員の組合に対する貸付金債務についてされた弁済が,組合員による任意の弁済であるというためには,…