1 生命保険契約に係る保険約款中の保険者の責任開始の日から1年内に被保険者が自殺した場合には保険者は死亡保険金を支払わない旨の定めは,責任開始の日から1年経過後の被保険者の自殺による死亡については,当該自殺に関し犯罪行為等が介在し,当該自殺による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事情が認められない場合には,当該自殺の動機,目的が保険金の取得にあることが認められるときであっても,免責の対象とはしない趣旨と解すべきである。 2 債務者が債権者に対して提起した債務が存在しないことの確認を求める訴えは,当該債務の履行を求める反訴が提起されている場合には,確認の利益がない。 3 (省略)
1 生命保険契約において保険者の責任開始の日から1年内に被保険者が自殺した場合には死亡保険金を支払わない旨を定めている保険約款の解釈 2 債務の履行を求める反訴が提起されている場合における当該債務の不存在確認を求める訴えの確認の利益 3 保険金支払債務の履行を求める反訴が提起されたために債務者が提起した当該債務が存在しないことの確認を求める訴えが確認の利益がないとして却下された場合において当該確認訴訟に係る訴訟の総費用を債権者に負担させた事例
商法680条1項1号,民法91条
判旨
1年内自殺免責特約が存在する場合、被保険者が責任開始日から1年経過後に自殺したときは、特段の事情がない限り、自殺の動機が保険金取得目的であっても保険者は免責されない。
問題の所在(論点)
保険約款に「責任開始日から1年以内の自殺を免責とする」旨の特約がある場合、1年経過後の自殺が専ら保険金取得目的であっても、商法の規定に基づき保険者は免責されるか。
規範
1年内自殺免責特約は、1年内の自殺については動機を問わず一律に免責とする反面、1年経過後の自殺については、犯罪行為が介在し支払を認めることが公序良俗に反するなどの「特段の事情」がない限り、自殺の動機が保険金取得目的であっても保険者を免責しない趣旨の約定と解される。この特約は当事者の合意として有効であり、商法680条1項1号(現:保険法51条1号)の適用を排除する。
重要事実
上告会社を経営する甲は、会社の経営悪化に伴い、自身を被保険者、会社を保険金受取人とする多額の生命保険契約を締結した。約款には「1年内自殺免責特約」があった。甲は保険契約の責任開始日から1年を経過した後、工事現場の屋上から転落して死亡した。その死は、経営難や多額の保険料支払状況から、保険金取得を目的とした自殺と認定された。
あてはめ
甲の自殺は、責任開始日から1年を経過した後になされたものである。当時の会社経営は厳しく、多額の保険金取得を目的とした自殺であると認められるが、自殺に至る過程で犯罪行為が介在した形跡はなく、その他公序良俗に反するような特段の事情もうかがえない。したがって、1年経過後の自殺として特約の射程内であり、動機が保険金目的であっても保険者は免責されない。
結論
1年経過後の自殺については、特段の事情がない限り免責特約により保険金支払義務を免れない。原審の判断には法令の違反があるため、破棄・差し戻しを免れない。
実務上の射程
自殺免責制限(自殺免責期間)を定めた約款がある場合において、期間経過後の自殺については、主観的意図(保険金目的)の立証にかかわらず原則として保険金が支払われるべきとする、実務上極めて重要な判断基準である。
事件番号: 平成27(受)330 / 裁判年月日: 平成28年4月28日 / 結論: 棄却
破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして,上記死亡保険金受取人の破産財団に属する。
事件番号: 昭和61(オ)1534 / 裁判年月日: 昭和62年12月17日 / 結論: その他
上訴審が本案判決の一部を変更する場合においては、民訴法一九八条二項の申立のうち変更しない部分に対応する申立部分を棄却する旨の裁判をすべきである。