上訴審が本案判決の一部を変更する場合においては、民訴法一九八条二項の申立のうち変更しない部分に対応する申立部分を棄却する旨の裁判をすべきである。
上訴審が本案判決の一部を変更する場合と民訴法一九八条二項の申立に対する裁判
民訴法198条2項
判旨
後遺障害による逸失利益の算定において、将来の一定期間経過後を始期として労働能力喪失率が変化する場合、中間利息控除のための係数は、全期間の係数から始期までの期間の係数を控除した数値を用いるべきである。
問題の所在(論点)
労働能力喪失率が段階的に減少するなど、将来の特定時点を始期として発生する損害の中間利息を控除する場合、どのような係数を用いるべきか。期間に対応する係数をそのまま用いることができるか、あるいは始期までの期間を考慮した差引計算法を用いるべきかが問題となる。
規範
不法行為に基づく逸失利益の算定において、中間利息を控除するためにホフマン式計算法を用いる場合、将来の一定期間経過後を始期とする損害については、その始期から終期までの全期間に対応する係数から、始期までの既経過期間に対応する係数を差し引いた数値(差引係数)を使用しなければならない。
重要事実
被害者(被上告人)は交通事故による後遺障害を負い、症状固定日の翌日から「最初の3年間は労働能力喪失率20%」、「その後の6年間は同7%」になると認定された。原審は、後者の6年間の逸失利益を算定するにあたり、単に期間6年のホフマン係数(5.133)をそのまま使用して損害額を算出した。
事件番号: 平成1(オ)297 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
不法行為により死亡した者の得べかりし普通恩給及び国民年金(老齢年金)は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し、加害者に対してその賠償を請求することができる。
あてはめ
本件において、労働能力喪失率が7%となる6年間は、症状固定から3年を経過した時点を始期とするものである。この場合、単なる「6年間」の係数ではなく、症状固定時からの通算期間である「9年間」の係数(7.278)から、喪失率が異なっていた「最初の3年間」の係数(2.731)を差し引いた「4.547」を用いるのが、中間利息控除の理論上正当である。原審のように単純な6年の係数を用いることは、中間利息の控除が不十分となり、損害賠償額の算定を誤ったものといえる。
結論
将来の一定期間経過後を始期とする逸失利益の算定には、全期間の係数から始期までの係数を控除した数値を用いるべきであり、これと異なる原審の算定は法の解釈適用を誤った違法がある。
実務上の射程
交通事故等の損害賠償実務において、将来の加齢や就職時期の変化に伴い労働能力喪失率が変動する場合(例:若年者の就労可能時期まで、あるいは後遺障害の程度が将来軽減すると予測される場合)の計算手法を規定した判例である。答案上は、逸失利益の計算過程で「中間利息控除」の正確性が問われる場面で、この差引計算法(ライプニッツ係数でも同様の理)を引用する。
事件番号: 平成30(受)1429 / 裁判年月日: 令和2年2月28日 / 結論: 破棄差戻
被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から相当と認められる額につ…
事件番号: 平成13(オ)734 / 裁判年月日: 平成16年3月25日 / 結論: その他
1 生命保険契約に係る保険約款中の保険者の責任開始の日から1年内に被保険者が自殺した場合には保険者は死亡保険金を支払わない旨の定めは,責任開始の日から1年経過後の被保険者の自殺による死亡については,当該自殺に関し犯罪行為等が介在し,当該自殺による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事…
事件番号: 平成12(受)375 / 裁判年月日: 平成13年11月27日 / 結論: 破棄差戻
いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合,売主は民法565条の類推適用を根拠として代金の増額を請求することはできない。
事件番号: 平成2(オ)1456 / 裁判年月日: 平成6年4月21日 / 結論: 棄却
当事者が損害賠償の額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これをしんしゃくすべきである。