宅地建物取引業法30条1項前段所定の事由が発生した場合において,同条2項本文所定の公告がされなかったときは,営業保証金の取戻請求権の消滅時効は,当該事由が発生した時から10年を経過した時から進行する。
宅地建物取引業法30条1項前段所定の事由が発生した場合において,同条2項本文所定の公告がされなかったときにおける営業保証金の取戻請求権の消滅時効の起算点
民法166条1項,民法167条1項,宅地建物取引業法27条,宅地建物取引業法30条
判旨
宅地建物取引業法に基づき営業保証金を供託した者が、取戻公告をしないまま取戻請求権を行使する場合、その消滅時効は、取戻事由が発生した時から10年を経過した時から進行する。
問題の所在(論点)
宅地建物取引業法30条1項に基づき供託された営業保証金の取戻請求権につき、取戻公告がなされない場合の消滅時効の起算点はいつか。取戻事由発生から最短公告期間(6か月)経過時か、それとも10年経過時かが問題となる。
規範
宅建業法30条2項は、取戻公告をして早期に請求するか、10年の経過を待って公告なしに請求するかを選択できる趣旨である。したがって、取戻公告がされない場合、同項ただし書の「10年」を経過するまでは取戻請求権を行使できないという「法律上の障害」があるといえる。以上より、消滅時効(民法166条1項)は、当該取戻事由が発生した時から10年を経過した時から進行する。
重要事実
宅建業者であった上告人は、平成10年3月に免許の有効期間が満了し、営業保証金の取戻事由が発生した。上告人は取戻公告を行わないまま、10年以上が経過した平成25年9月に供託金の取戻請求を行った。これに対し供託官は、取戻事由発生から最短の公告期間(6か月)経過時を起算点とすれば10年の消滅時効が完成しているとして、請求を却下した。
事件番号: 平成10(行ツ)22 / 裁判年月日: 平成13年11月27日 / 結論: 棄却
1 弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は,過失なくして債権者を確知することができないことを原因とする弁済供託の場合を含め,供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行する。 2 過失なくして債権者を確知することができないことを原因として賃料債務についてされた弁済供託につき,同債務の各弁済期の翌日から民法1…
あてはめ
本件では、取戻事由(免許失効)が発生したのは平成10年4月1日である。上告人は取戻公告をしていないため、同法30条2項ただし書により、取戻請求権を行使できるようになるのは10年後の平成20年4月1日である。この時点が消滅時効の起算点となる。本件取戻請求はその約5年6か月後の平成25年9月になされており、10年の時効期間(旧民法167条1項)は経過していない。したがって、消滅時効は完成していないと評価される。
結論
本件取戻請求権の消滅時効は完成しておらず、却下決定は違法である。よって、却下決定を取り消し、払渡認可決定を義務付ける。
実務上の射程
行政法における義務付け訴訟の認容要件としての「処分がされるべきこと」の判断、及び民法の消滅時効(権利を行使することができる時)の解釈として重要。法律上の障害がある期間は時効が進行しないという原則を、宅建業法の制度趣旨から導いている点に特徴がある。
事件番号: 昭和40(行ツ)100 / 裁判年月日: 昭和45年7月15日 / 結論: 棄却
一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合には、供託官を被告として却下処分の取消の訴を提起することができる。 二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となつた債務について紛争の解決などによつてその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行し、一〇年を…
事件番号: 平成14(受)240 / 裁判年月日: 平成14年10月10日 / 結論: 棄却
債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律2条1項に規定する債権譲渡登記に譲渡債権の発生年月日の始期(平成10年法務省告示第295号3(5)の項番24)は記録されているがその終期(同項番25)が記録されていない場合には,当該債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても,…
事件番号: 昭和42(オ)271 / 裁判年月日: 昭和42年7月6日 / 結論: 棄却
本件乙第一号証は、株式会社D組がa村に対して有する工事代金の内金五二六、〇〇〇円の債権を被上告会社に譲渡するにつきa村村長が右債権譲渡を承諾する文言と承諾した日附を記入した債権譲渡契約書であるというのであるから、右文書の日附は民法施行法第五条第五号の確定日附にあたる。
事件番号: 昭和34(オ)385 / 裁判年月日: 昭和36年8月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】契約解除に伴う供託金を受領した事実のみをもって、直ちに解除を承認する意思表示があったとみることはできず、証拠関係に基づき個別に判断されるべきである。 第1 事案の概要:原告(被上告人)に対し、被告(上告人)が契約解除を主張し、これに伴う精算金等の供託を行った。原告は本件供託金を受領したが、その後の…