債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律2条1項に規定する債権譲渡登記に譲渡債権の発生年月日の始期(平成10年法務省告示第295号3(5)の項番24)は記録されているがその終期(同項番25)が記録されていない場合には,当該債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても,他に当該債権譲渡登記中に始期当日以外の日に発生した債権も譲渡の目的である旨の記録がない限り,債権譲受人は,当該債権譲渡登記をもって,始期当日以外の日に発生した債権の譲受けを債務者以外の第三者に対抗することができない。
譲渡債権の発生年月日として始期のみが記録されている債権譲渡登記をもって始期当日以外の日に発生した債権の譲渡を第三者に対抗することの可否
債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律2条1項,債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律5条1項,債権譲渡登記規則(平成10年法務省令第39号)6条1項,平成10年法務省告示第295号3(1),平成10年法務省告示第295号3(5),民法467条
判旨
債権譲渡登記に債権発生年月日の始期のみが記録され、終期の記録や他に数日間にわたる発生を伺わせる記録がない場合、譲受人は始期当日以外に発生した債権の譲受を第三者に対抗できない。
問題の所在(論点)
債権譲渡特例法に基づく債権譲渡登記において、発生年月日の始期のみが記録され終期の記録がない場合、始期当日以外に発生した将来債権の譲渡を第三者に対抗できるか(公示の存否)。
規範
債権譲渡登記が第三者に対する対抗要件(債権譲渡特例法2条1項)として機能するためには、登記によって当該債権が譲渡されたことを第三者が認識できる程度に公示されている必要がある。具体的には、債権の発生日が数日に及ぶ将来債権の譲渡については、発生年月日の始期のみならず、終期を記録するなどしてその期間を明らかにしなければならない。始期の記録のみで終期や他の明示的な記録がない場合は、始期当日に発生した債権についてのみ公示の効力が認められる。
事件番号: 平成12(受)194 / 裁判年月日: 平成13年11月22日 / 結論: 破棄自判
甲が乙に対する金銭債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対して担保権実行として取立ての通知をするまでは甲に譲渡債権の取立てを許諾し,甲が取り立てた金銭について乙への引渡しを要しないとの内容のいわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約において,同契約に係る債権…
重要事実
上告人は、訴外会社から発生済み及び将来発生する報酬債権を譲り受け(本件譲渡)、債権譲渡登記を経た。しかし、当該登記の「発生年月日」欄には、始期は記録されていたが終期は記録されていなかった。その後、被上告人も同一債権を譲り受け、始期・終期の双方を記録した債権譲渡登記を経た。その後、債務者が債権者不確知を理由に供託したため、上告人と被上告人の間で還付請求権の帰属が争われた。なお、本件供託に係る債権が登記上の始期当日に発生したという証拠はなかった。
あてはめ
本件債権譲渡登記には、譲渡対象債権の発生年月日の始期は記録されているものの、終期が記録されていない。また、他に始期当日以外の日に発生した債権が譲渡目的である旨をうかがわせる記録も存在しない。このような登記では、第三者は始期当日以外に発生した債権が譲渡されたことを認識できず、公示があるとは認められない。本件で問題となっている供託債権が始期当日に発生した事実も証明されていない以上、上告人は被上告人に対し、本件譲渡を対抗できないと解される。
結論
上告人は、債権譲渡登記に終期の記録がないため、始期当日以外に発生した債権の譲受を被上告人に対抗できず、本件請求は認められない。
実務上の射程
集合債権や将来債権を譲渡担保に供する場合の対抗要件具備の実務において、期間の特定の重要性を示す。答案上では、将来債権譲渡の有効性(特定性)とは別に、対抗要件としての公示の十分性を論じる際の規範として用いる。
事件番号: 平成5(オ)1164 / 裁判年月日: 平成9年6月5日 / 結論: 棄却
譲渡禁止の特約のある指名債権について、譲受人が特約の存在を知り、又は重大な過失により特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合でも、その後、債務者が債権の譲渡について承諾を与えたときは、債権譲渡は譲渡の時にさかのぼって有効となるが、民法一一六条の法意に照らし、第三者の権利を害することはできない。
事件番号: 平成7(オ)514 / 裁判年月日: 平成10年3月24日 / 結論: 棄却
建物の賃料債権の差押えの効力が発生した後に、建物が譲渡され賃貸人の地位が譲受人に移転したとしても、譲受人は、建物の賃料債権を取得したことを差押債権者に対抗することができない。
事件番号: 昭和42(オ)271 / 裁判年月日: 昭和42年7月6日 / 結論: 棄却
本件乙第一号証は、株式会社D組がa村に対して有する工事代金の内金五二六、〇〇〇円の債権を被上告会社に譲渡するにつきa村村長が右債権譲渡を承諾する文言と承諾した日附を記入した債権譲渡契約書であるというのであるから、右文書の日附は民法施行法第五条第五号の確定日附にあたる。
事件番号: 平成19(受)1280 / 裁判年月日: 平成21年3月27日 / 結論: 破棄自判
譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することは,債務者にその無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,許されない。