本件乙第一号証は、株式会社D組がa村に対して有する工事代金の内金五二六、〇〇〇円の債権を被上告会社に譲渡するにつきa村村長が右債権譲渡を承諾する文言と承諾した日附を記入した債権譲渡契約書であるというのであるから、右文書の日附は民法施行法第五条第五号の確定日附にあたる。
民法施行法第五条第五号にいう確定日附にあたる場合
民法施行法5条5号
判旨
公務員がその職務上作成した文書において、債権譲渡の承諾の文言と共に記入した日付は、民法施行法5条5号にいう確定日付に該当する。
問題の所在(論点)
民法467条2項の対抗要件に関連し、市町村長等の公務員が債権譲渡契約書に承諾の文言と共に記入した日付が、民法施行法5条5号にいう「確定日付」にあたるか。
規範
民法施行法5条5号に規定される「官署又は公署において書面に有る事項を記入し、且つ、日付を記入したるときは、其日付」とは、公務員が職務権限に基づき、書面上に一定の事実を記載して日付を付したものを指す。公文書における日付の記入は、その日付以前に当該文書が存在していたことを公的に証明するに足りる客観的信憑性を有するため、確定日付として認められる。
重要事実
株式会社D組は、a村に対して有する工事代金債権の一部(52万6,000円)を被上告会社へ譲渡した。この際、譲渡の対象となったa村の村長が、当該債権譲渡契約書に対し、債権譲渡を承諾する旨の文言と、その承諾をした日付を記入した。本件では、この債権譲渡契約書に付された日付が、民法467条2項の対抗要件として必要な「確定日付」に該当するかが争われた。
事件番号: 平成14(受)240 / 裁判年月日: 平成14年10月10日 / 結論: 棄却
債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律2条1項に規定する債権譲渡登記に譲渡債権の発生年月日の始期(平成10年法務省告示第295号3(5)の項番24)は記録されているがその終期(同項番25)が記録されていない場合には,当該債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても,…
あてはめ
本件における債権譲渡契約書(乙第1号証)には、第三債務者であるa村の村長が、譲渡を承諾する旨の文言を記載し、併せてその日付を記入している。村長は公署の長であり、その職務に関連して書面に事項を記入し、かつ日付を付した以上、民法施行法5条5号の要件を充足する。このような公務員による日付の記入は、後日の改ざんが困難であり、債権譲渡の通知・承諾の時期を明確にするという確定日付制度の趣旨に合致する。
結論
本件文書の日付は民法施行法5条5号にいう確定日付に該当する。したがって、当該日付をもって第三者に対する対抗要件を具備したものと認められる。
実務上の射程
本判決は、公署の長である村長による日付の記入を確定日付として認めたものである。実務上、公証役場での確定日付付与だけでなく、公務員が職務上作成した承諾書や、受領印のある通知書等も確定日付としての効力を有し得ることを示す。答案上は、確定日付の有無が争点となる債権譲渡の二重譲渡事案において、民法施行法5条各号のあてはめで引用すべき判例である。
事件番号: 平成12(受)194 / 裁判年月日: 平成13年11月22日 / 結論: 破棄自判
甲が乙に対する金銭債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対して担保権実行として取立ての通知をするまでは甲に譲渡債権の取立てを許諾し,甲が取り立てた金銭について乙への引渡しを要しないとの内容のいわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約において,同契約に係る債権…
事件番号: 平成5(オ)1164 / 裁判年月日: 平成9年6月5日 / 結論: 棄却
譲渡禁止の特約のある指名債権について、譲受人が特約の存在を知り、又は重大な過失により特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合でも、その後、債務者が債権の譲渡について承諾を与えたときは、債権譲渡は譲渡の時にさかのぼって有効となるが、民法一一六条の法意に照らし、第三者の権利を害することはできない。
事件番号: 平成9(オ)219 / 裁判年月日: 平成11年1月29日 / 結論: 破棄自判
一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然には左右しない。 二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来八年三箇月の間に支払を受けるべき各月の診療報酬債権の一部を目的として債権譲渡契約を締結した場合において、右医師が債務の弁済のために右契約を締…