信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えは,滞納に係る上記固定資産税等のうち上記土地以外の不動産の固定資産税相当額部分に基づき,上記賃料債権のうち上記土地の賃料相当額を差し押さえる点において旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)16条1項との関係で問題があるものの,その問題となる部分は上記の限度にとどまり,差押えを全体として違法とするような特段の事情もうかがわれないなど判示の事情の下においては,適法である。
信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えが,適法であるとされた事例
旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)16条1項,地方税法373条,国税徴収法62条,国税徴収法63条
判旨
信託財産である土地と固有財産である建物の一括賃料債権に対する差押えは、信託財産以外の税額に基づく部分が含まれていても、直ちに全体として違法とはならない。信託財産から生じた賃料相当額を信託事務に関連しない税額に充当することは許されないが、その精算は不当利得返還等の問題にとどまる。
問題の所在(論点)
信託財産(土地)と固有財産(建物)を一括賃貸して生じた賃料債権に対し、信託事務に関連しない租税債権(建物等の固定資産税)を被担保債権としてなされた差押処分の適法性。
規範
1. 信託財産に対する強制執行等は、信託前の原因または信託事務の処理により生じた権利に基づく場合に限り許される(旧信託法16条1項)。 2. 受託者が信託財産である土地と固有財産である建物を一括して賃貸した場合、賃料債権は各不動産の経済的価値や利用状況に応じて区分され、土地分は信託財産に属する(同法14条)。 3. 債権差押えは原則として全額を対象とすべきであり(国税徴収法63条)、差押処分の中に信託法に抵触し得る部分が含まれていても、直ちに処分全体が違法となるわけではない。
事件番号: 平成24(行ヒ)156 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 棄却
滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は,その差押処分の取消訴訟の原告適格を有する。
重要事実
受託者である被告会社は、委託者から信託された本件土地と、自己が所有する本件家屋を訴外会社に一括して賃貸し、賃料債権(本件賃料債権)を有していた。被告会社が、本件土地、家屋、およびその他の所有地の固定資産税を滞納したため、市(上告人)は本件賃料債権を差し押さえた。受益者の承継人(被上告人)は、信託財産である土地の賃料分を、土地以外の固定資産税の滞納処分として差し押さえることは旧信託法16条1項に違反すると主張し、差押処分の取消しを求めた。
あてはめ
まず、本件賃料債権は、土地と建物の価値割合に応じて区分可能であり、土地分は信託財産に属する。次に、固定資産税は各不動産の課税標準で按分算出が可能である。本件差押えのうち、土地の税額分で賃料全体を差し押さえること、および全体の税額で建物の賃料分を差し押さえることは同法16条1項に反しない。土地以外の税額分で土地の賃料分を差し押さえる点は同項との関係で問題があるが、債権差押えの全額執行の原則に照らせば、この一部の瑕疵をもって差押処分全体を違法とすべき特段の事情はない。なお、不当な充当がなされた場合は、受託者が別途不当利得返還を請求することで解決すべきである。
結論
本件差押処分は全体として適法であり、取消請求は認められない。
実務上の射程
信託財産と固有財産が混然一体となった債権に対する滞納処分において、処分の「効力(入口)」と「充当・精算(出口)」を切り離して判断した点に実務上の意義がある。答案上は、差押えが「全額」なされる性質(国税徴収法63条)を指摘しつつ、信託法の独立性原則との調和を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和31(オ)733 / 裁判年月日: 昭和33年6月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分における軽微な誤記や訓示規定への違反は、その処分の内容を実質的に左右するものではない限り、処分の効力に影響を及ぼさず、違法事由とはならない。 第1 事案の概要:D村が町制施行によりE町となった後、滞納処分において滞納税金のうち「村民税」を「町民税」と誤記した。また、処分が町条例の定める納期…
事件番号: 平成18(許)13 / 裁判年月日: 平成18年9月11日 / 結論: 棄却
強制執行を受けた債務者が,その請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合には,執行抗告又は執行異議の方法によることはできず,請求異議の訴えによるべきである。
事件番号: 昭和46(行ツ)88 / 裁判年月日: 昭和49年7月22日 / 結論: 破棄自判
会社更生法一一九条所定の租税のうち徴収のために納税の告知を必要とする源泉徴収に係る所得税等に関しては、同条にいう納期限とは、各税法の規定により当該租税を納付すべき本来の期限(法定納期限)ではなく、納税の告知において指定された納付の期限(指定納期限)を指すものと解すべきである。