強制執行を受けた債務者が,その請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合には,執行抗告又は執行異議の方法によることはできず,請求異議の訴えによるべきである。
強制執行を受けた債務者がその請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合に執るべき手続
民事執行法10条,民事執行法11条,民事執行法35条
判旨
行政処分の執行としての差押処分は、先行する督促処分が公定力により有効である限り、直ちに違法となるものではないが、督促処分に重大かつ明白な瑕疵があり無効である場合には、その無効を理由として差押処分の取消しを求めることができる。
問題の所在(論点)
先行する行政処分(督促)の瑕疵を理由として、後続の執行処分(差押)の違法を主張することができるか(違法性の承継または先行処分の無効の主張)。
規範
先行する行政処分(督促処分)に重大かつ明白な瑕疵があり、当該処分が当然無効と解される場合には、その後続処分(差押処分)の取消訴訟において、先行処分の無効を理由として後続処分の違法を主張することが認められる。
重要事実
納税者(原告)に対し、行政庁が税金の督促処分を行い、これに基づき財産の差押処分を執行した。原告は、先行する督促処分に瑕疵があるとして、後続の差押処分の取消しを求めて提訴した。具体的にどのような瑕疵があったかについては、提示された判決文断片からは不明であるが、先行処分の効力が後続処分の適法性に及ぼす影響が争点となった。
事件番号: 平成13(許)30 / 裁判年月日: 平成14年6月13日 / 結論: 棄却
抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告においては,被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることはできない。
あてはめ
行政処分には公定力があり、適法に判決で取り消されない限り有効として扱われる。したがって、督促処分が有効に存在する限り、それに基づく差押処分が直ちに違法となることはない。しかし、督促処分に「重大かつ明白な瑕疵」がある場合は、公定力が生じず処分は当然無効である。この場合、前提となる督促が存在しないのと同義であるから、これを前提とした差押処分も適法な根拠を欠くことになり、原告はその無効を理由に差押処分の取消しを主張し得る。
結論
先行する督促処分が重大かつ明白な瑕疵により無効である場合に限り、差押処分の取消請求は認められる。
実務上の射程
行政行為の違法性の承継に関するリーディングケースである。原則として違法性の承継は否定されるが、先行処分が「無効」である場合には、期間制限のある取消訴訟の枠内であっても、その無効を理由に後続処分の違法を言えるという論理を示す際に用いる。
事件番号: 令和4(許)13 / 裁判年月日: 令和5年3月29日 / 結論: 破棄差戻
第三債務者が差押命令の送達を受ける前に債務者との間で差押えに係る金銭債権の支払のために電子記録債権を発生させた場合において、上記差押えに係る金銭債権について発せられた転付命令が第三債務者に送達された後に上記電子記録債権の支払がされたときは、上記支払によって民事執行法160条による上記転付命令の執行債権及び執行費用の弁済…
事件番号: 平成11(許)23 / 裁判年月日: 平成12年4月14日 / 結論: 破棄差戻
抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。
事件番号: 平成10(許)4 / 裁判年月日: 平成10年12月18日 / 結論: 棄却
一 請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足り…
事件番号: 平成28(許)46 / 裁判年月日: 平成29年10月10日 / 結論: 破棄自判
債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となる。