会社更生法一一九条所定の租税のうち徴収のために納税の告知を必要とする源泉徴収に係る所得税等に関しては、同条にいう納期限とは、各税法の規定により当該租税を納付すべき本来の期限(法定納期限)ではなく、納税の告知において指定された納付の期限(指定納期限)を指すものと解すべきである。
会社更生法一一九条にいう納期限の意義
会社更生法119条
判旨
会社更生法上の源泉徴収税等の共益債権性を決する「納期限」とは、法定納期限ではなく、納税の告知により指定された「指定納期限」を指す。したがって、更生手続開始時点で指定納期限が未到来の租税債権は、共益債権として取り扱われる。
問題の所在(論点)
会社更生法119条前段(現・142条等)に規定される、源泉徴収に係る所得税等のうち共益債権となる範囲を画する「納期限」の意義(法定納期限か、指定納期限か)。
規範
会社更生法119条前段(現・会社更生法142条等参照)にいう「納期限」とは、納税の告知において指定された納付の期限(指定納期限)を意味する。同条の趣旨は、源泉徴収税等の預り金的性質を有する租税について、強制徴収手続が可能となる指定納期限の経過前であれば、取戻権的性質を考慮して政策的に共益債権として保護することにある。
重要事実
更生会社が納付すべき源泉徴収に係る所得税及び不納付加算税について、国税当局が更生手続開始後に差押処分を行った。当該租税債権は、更生手続開始原因に基づいて生じたものであったが、開始当時、納税の告知による指定納期限はまだ到来していなかった。被上告人は、同条にいう「納期限」を法定納期限と解し、本件租税は更生債権であり差押えは違法であると主張して、処分の取消しを求めた。
事件番号: 平成16(行ヒ)310 / 裁判年月日: 平成19年2月15日 / 結論: 破棄自判
国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期…
あてはめ
源泉徴収税等は一種の預り金的性質を有し、実質的には更生会社に属しない財産としての側面を持つ。同条は、徴税当局がいつでも強制徴収を行える状態(指定納期限の経過)にないものについては、その預り金的性質を重視して共益債権として扱う趣旨である。本件の各所得税等は、更生手続開始当時に指定納期限が到来していなかったため、共益債権としての要件を満たす。また、不納付加算税も本税に付随するものとして同様に解される。徴税当局の告知遅延による弊害は信義則等で対応可能であり、指定納期限と解することを妨げない。
結論
本件租税債権は共益債権に該当するため、これに基づきなされた差押処分は適法である。原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却する。
実務上の射程
更生手続における租税債権の区分(更生債権か共益債権か)の判断基準を示す。特に「預り金的性質」という実質的根拠から指定納期限を導く論理は、現行法下の解釈においても、租税債権の特殊性を論述する際の有力な指標となる。
事件番号: 昭和39(行ツ)47 / 裁判年月日: 昭和45年7月16日 / 結論: 棄却
破産宣告後は、破産財団に属する財産に対し、財団債権である国税債権をもつて新たに国税徴収法による差押をすることはできない。
事件番号: 昭和41(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和47年12月22日 / 結論: 棄却
一、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおいても、事業上の貸倒れ損失額を、当該貸倒れの事実が生じた年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとする取扱いを是認することができる。 二、利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法一〇条一項にい…
事件番号: 平成26(行ヒ)228 / 裁判年月日: 平成28年3月29日 / 結論: 破棄自判
信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えは,滞納に係る上記固定資産税等のうち上記土地以外の不動産の固定資産税相当額部分に基づき,上記賃料債権のうち上記土地の賃料相当額を差し押さえる点において旧…
事件番号: 平成29(行ヒ)209 / 裁判年月日: 平成30年9月25日 / 結論: 棄却
給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について,法定納期限が経過したという一事をもって,当該源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことが許されないとはいえない。