国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。
国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され第三者に対する対抗要件が具備されていた場合における国税徴収法24条6項の適用
国税徴収法24条,民法369条(譲渡担保),民法467条2項
判旨
将来発生すべき債権を目的とする譲渡担保契約が締結され、対抗要件が具備されている場合、当該債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても、国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。
問題の所在(論点)
国税徴収法24条1項に基づく譲渡担保財産からの徴収において、法定納期限後に発生した将来債権が、同条6項にいう「法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」事実に該当するか、集合債権譲渡担保の法的性質と関連して問題となる。
規範
将来発生すべき債権を目的とする譲渡担保契約が締結された場合、特段の付款がない限り、債権は契約によって確定的に譲渡され、債権発生時に設定者の特段の行為なく当然に担保目的で取得される。したがって、国税の法定納期限等以前に当該契約が締結され、対抗要件(民法467条2項)が具備されているときは、債権の発生自体が法定納期限等の後であっても、国税徴収法24条6項の「法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」事実があるものと解すべきである。
重要事実
A社は、C社との取引で将来発生する売掛債権等を目的として、上告人(銀行等)との間で集合債権譲渡担保契約を締結し、確定日付ある通知により対抗要件を具備した。その後、A社は国税を滞納し、被上告人(国)は当該国税の法定納期限後に発生した本件債権について、譲渡担保財産からの徴収を目的として国税徴収法24条に基づき上告人を第二次納税義務者とみなして差押えを行った。上告人は、法定納期限前に譲渡担保の対抗要件を具備していたとして、同条6項の適用による差押えの取消しを求めた。
事件番号: 昭和46(行ツ)88 / 裁判年月日: 昭和49年7月22日 / 結論: 破棄自判
会社更生法一一九条所定の租税のうち徴収のために納税の告知を必要とする源泉徴収に係る所得税等に関しては、同条にいう納期限とは、各税法の規定により当該租税を納付すべき本来の期限(法定納期限)ではなく、納税の告知において指定された納付の期限(指定納期限)を指すものと解すべきである。
あてはめ
本件契約は将来発生する債権を目的とした譲渡担保であり、債権譲渡の効果を留保する特段の付款は存在しない(実行通知まで設定者が弁済を受ける合意はこれに当たらない)。上告人は本件債権の発生前かつ本件国税の法定納期限前に、確定日付ある郵便で対抗要件を具備していた。そのため、債権が法定納期限後に具体的に発生したとしても、既に「法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」事実に該当すると評価され、上告人が内容証明郵便を呈示したことは同条6項の「証明」に当たる。
結論
本件債権について国税徴収法24条1項を適用することはできず、上告人を第二次納税義務者とみなして行われた本件差押えは違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
集合債権譲渡担保の対抗要件具備による優先権が、将来債権の発生時ではなく対抗要件具備時を基準に判定されることを公租公課との関係で明示した。実務上、将来債権の譲渡担保が公租公課に優先するためには、法定納期限前に対抗要件(通知・承諾または登記)を具備しておくことが決定的となる。
事件番号: 昭和39(行ツ)47 / 裁判年月日: 昭和45年7月16日 / 結論: 棄却
破産宣告後は、破産財団に属する財産に対し、財団債権である国税債権をもつて新たに国税徴収法による差押をすることはできない。
事件番号: 平成10(行ツ)149 / 裁判年月日: 平成15年12月19日 / 結論: 棄却
いわゆる一括支払システムに関する契約において譲渡担保権者と納税者との間でされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意は,同条5項の趣旨に反して無効である。 (補足意見がある。)