一、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおいても、事業上の貸倒れ損失額を、当該貸倒れの事実が生じた年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとする取扱いを是認することができる。 二、利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、課税の対象となるべき所得を構成しないものと解すべきである。 参照 (一審、名古屋地裁昭三九・八・三一行政例集一五巻八号一五〇〇頁、二審、名古屋高裁昭四一・一・二八同一七巻一号二三頁)
一、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおける事業上の貸倒れ損失と必要経費算入の許否 二、利息制限法による制限超過の利息・損害金に対する課税の許否
旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条1項4号,旧所得税法(昭和22年法律第27号)10条1項,旧所得税法(昭和22年法律第27号)10条2項,利息制限法1条,利息制限法4条
判旨
履行期の到来した利息・損害金債権は、原則として所得税法上の「収入すべき金額」に該当するが、利息制限法の制限を超える未収分については、課税対象となる所得を構成しない。
問題の所在(論点)
履行期が到来したが未回収である利息・損害金債権が、所得税法上の「収入すべき金額」に含まれるか。特に利息制限法を超える制限超過分について、未収の状態でも課税対象となるかが問題となる。
規範
所得税法における事業所得の計算において、履行期の到来した債権は原則として「収入すべき金額」に該当する(権利確定主義)。しかし、利息制限法による制限を超える利息・損害金については、その約定の履行期が到来していても、なお未収である限り、課税の対象となるべき所得を構成しないものと解するのが相当である。
重要事実
事件番号: 昭和43(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和46年11月9日 / 結論: 棄却
利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、課税の対象となるべき所得を構成しない。
納税者(上告人)は、訴外Dとの間で利息制限法施行前に消費貸借契約を締結し、また訴外Eとの間で利息制限法施行後に年1割8分、遅延損害金日歩9銭8厘の準消費貸借契約を締結した。これらの契約に基づく未収の利息・損害金が「収入すべき金額」に含まれるか否かが争点となった。原審は利息制限法の制限を超える未収分も課税対象に含まれると判断したが、本件の具体的な利率は利息制限法の制限内であった。
あてはめ
一般に履行期が到来した利息債権は、法的権利が確定しているため「収入すべき金額」に算入される。回収不能となった場合は後日、必要経費算入等の救済措置を受ければ足りる。しかし、利息制限法超過分については、私法上の効力が制限されていることを鑑み、未収である限りは所得を構成しないと解すべきである。本件では、Dとの契約は旧法適用により公序良俗違反等の特段の事情がない限り有効であり、Eとの契約も法定制限内の利率であった。したがって、本件の未収債権はいずれも制限内の適法なものであり、「収入すべき金額」に含まれる。
結論
利息制限法の制限超過分が未収であれば課税対象とならないとする点において原判決の解釈に誤りはあるが、本件各債権は制限内であるため、結論において「収入すべき金額」に該当するとした判断は正当である。
実務上の射程
権利確定主義の例外として、利息制限法超過分の未収利息については課税できないとする射程を明確にしている。答案上は、原則として権利確定主義を提示しつつ、利息制限法が関わる場面では本判例を引用して修正を施す形で活用する。
事件番号: 昭和42(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和46年11月16日 / 結論: 棄却
利息制限法による制限超過の利息・損害金については、たとえ約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、したがつて、これが被課税所得を構成するものとしてなされた課税処分は、この点において違法たるを免れないが、かかる違法はいまだ当該処分をた…
事件番号: 昭和50(行ツ)123 / 裁判年月日: 昭和53年2月24日 / 結論: 破棄自判
一 賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料は、原則として、その債権の存在を認める裁判が確定した日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべきである。 二 賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員は、その受領の日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべき…
事件番号: 昭和39(行ツ)111 / 裁判年月日: 昭和40年9月24日 / 結論: 棄却
第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であつても、譲渡所得は成立する。
事件番号: 昭和41(行ツ)44 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 破棄差戻
借地権の設定に際して土地所有者が支払を受ける権利金は、その設定契約において長期の存続期間を定め、かつ、借地権の譲渡性を承認する等所有者が当該土地の使用収益権を半永久的に手離す結果となる場合に、その対価として更地価格のきわめて高い割合にあたる金額の支払を受けるというような、明らかに所有権の権能の一部を譲渡した対価としての…