利息制限法による制限超過の利息・損害金については、たとえ約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、したがつて、これが被課税所得を構成するものとしてなされた課税処分は、この点において違法たるを免れないが、かかる違法はいまだ当該処分をただちに無効ならしめるものとはいえない。 参照 (一審、熊本地裁昭和四一年七月一日判決、行政裁集一七巻七・八号七五五頁 二審、福岡高裁同年一二月一九日判決、同巻一二号一三六四頁)
利息制限法による制限超過の利息損害金の未収分についてなされた課税処分の効力
旧所得税法(昭和22年法律第27号)10条1項,利息制限法1条,利息制限法4条
判旨
利息制限法を超える制限超過利息等は未収である限り所得税法上の「収入すべき金額」に含まれず、これを含めてなされた更正処分等は違法であるが、直ちに無効とはならない。
問題の所在(論点)
利息制限法を超える制限超過利息のうち未収のものが所得税法上の「収入すべき金額」に含まれるか。また、これを含めてなされた更正処分等の違法性は、当該処分を当然無効ならしめるものか。
規範
1. 利息制限法による制限超過の利息・損害金については、約定の履行期が到来しても、未収である限り所得税法(昭和40年法律第33号による改正前)10条1項の「収入すべき金額」に該当せず、被課税所得を構成しない。2. 行政処分の違法性が重大かつ明白でない限り、当該処分は当然無効とはならず、公定力により有効として扱われる。
重要事実
上告人は、利息制限法を超える制限超過の利息・損害金について約定の履行期が到来したことを理由に、これらを課税対象に含めてなされた所得税の更正処分および加算税賦課処分を受けた。上告人は、制限超過分に関する課税処分は無効であると主張して、その無効確認を求めて提訴した。
事件番号: 昭和43(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和46年11月9日 / 結論: 棄却
利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、課税の対象となるべき所得を構成しない。
あてはめ
判例の趣旨に照らせば、未収の制限超過利息を課税所得に含めることは所得税法の解釈を誤ったものであり、本件各処分には違法があるといえる。しかし、課税対象の有無や範囲に関する解釈の誤りは、行政処分の成立過程において重大かつ明白な瑕疵があるとは直ちに断定できず、当該処分を直ちに無効ならしめるほどの違法とはいえない。したがって、処分の取り消しを求めるのではなく無効確認を求める本件請求は認められない。
結論
本件更正処分等は所得税法の解釈において違法であるが、その違法は無効事由には当たらないため、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
所得税法上の「収入すべき金額」の範囲(権利確定主義)に関する重要判例であるとともに、行政法の分野においては、処分の違法性と無効事由の区別(重大明白説の枠組み)を示す事案として位置付けられる。
事件番号: 昭和41(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和47年12月22日 / 結論: 棄却
一、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおいても、事業上の貸倒れ損失額を、当該貸倒れの事実が生じた年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとする取扱いを是認することができる。 二、利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法一〇条一項にい…
事件番号: 昭和53(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和55年11月20日 / 結論: 棄却
一 省略 二 所得税法九六条ないし一〇一条の定める資産所得合算課税制度の合憲性を争う主張は、特定の法律における具体的な税額計算の定めに関する立法政策上の適不適を争うものにすぎず、違憲の問題を生ずるものでない。
事件番号: 昭和33(オ)224 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】審査請求の対象は、審査決定書の記載にかかわらず、不服申立人の真意に基づいて客観的に判断されるべきであり、加算税等のみを対象とした場合には所得金額等に関する訴えは適法な前置手続を欠く。また、既存の通知の誤謬を訂正する通知がなされても、それが新たな処分を構成しない限り、訴訟の対象が当然に拡大することは…
事件番号: 昭和62(行ツ)142 / 裁判年月日: 昭和63年7月19日 / 結論: 棄却
所得税法六〇条一項一号にいう「贈与」には贈与者に経済的な利益を生じさせる負担付贈与を含まない。