利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、課税の対象となるべき所得を構成しない。
利息制限法による制限超過の未収の利息・損害金に対する課税の許否
利息制限法1条,利息制限法4条,旧所得税法(昭和22年法律第27号)10条1項
判旨
利息制限法を超える利息等は、現実に収受された場合は課税対象となるが、未収の状態では、収入実現の高度な蓋然性が認められないため「収入すべき金額」として課税対象にはならない。
問題の所在(論点)
利息制限法による制限超過の利息・損害金について、(1)現実に収受された場合に所得を構成するか、(2)未収の状態で「収入すべき金額」として課税対象となるか。
規範
1. 所得の構成は必ずしも法律的性質のみで決まらず、当事者間で利息等として授受され、貸主が元本に充当せずに管理している以上、現実に収受された制限超過利息は課税対象となる。2. 一方、未収の利息等が「収入すべき金額」にあたるかは、収入実現の可能性が高度であるか否かによる。制限超過利息は私法上無効であり、履行強制手段がない以上、支払の事実上の期待があるにとどまり、収入実現の蓋然性があるとはいえない。
重要事実
貸金業者である上告人らが、借主との間で利息制限法の制限を超える利息および損害金の約定を締結していた事案。税務当局は、約定の履行期が到来した制限超過利息等のうち、いまだ現実に収受されていない未収分についても、旧所得税法10条1項の「収入すべき金額」に該当するとして課税処分を行った。これに対し上告人らが、未収の超過利息は所得を構成しないとして処分の取消しを求めた。
あてはめ
(1) 現実収受分:制限超過利息は法律上元本に充当される性質を持つが、当事者間での授受の実態に基づき、貸主が元本残存として取り扱っている以上、経済的実態に即して所得と評価される。(2) 未収分:金銭債権は通常、履行期到来により収入実現の高度な蓋然性が認められるが、制限超過利息は基礎となる約定自体が無効である。借主が任意に支払う事実上の期待はあっても、貸主は法的に履行を強制する手段を持たない。したがって、客観的に収入実現の蓋然性が認められず、「収入すべき金額」には該当しない。
結論
制限超過の利息・損害金は、現実に収受された場合は課税対象となるが、未収である限り所得を構成しない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
所得の帰属時期に関する「権利確定主義」の例外的な具体化として重要。債権が法的に無効、あるいは履行強制が不可能であり、かつ事実上の回収の蓋然性も認められない場合には、権利が確定したとはいえず課税できないという論理を示す。租税法における実質課税の考え方と、私法上の効力が課税に及ぼす影響を検討する際の指標となる。
事件番号: 昭和41(行ツ)25 / 裁判年月日: 昭和47年12月22日 / 結論: 棄却
一、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおいても、事業上の貸倒れ損失額を、当該貸倒れの事実が生じた年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとする取扱いを是認することができる。 二、利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法一〇条一項にい…
事件番号: 昭和50(行ツ)123 / 裁判年月日: 昭和53年2月24日 / 結論: 破棄自判
一 賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料は、原則として、その債権の存在を認める裁判が確定した日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべきである。 二 賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員は、その受領の日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべき…
事件番号: 昭和41(行ツ)44 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 破棄差戻
借地権の設定に際して土地所有者が支払を受ける権利金は、その設定契約において長期の存続期間を定め、かつ、借地権の譲渡性を承認する等所有者が当該土地の使用収益権を半永久的に手離す結果となる場合に、その対価として更地価格のきわめて高い割合にあたる金額の支払を受けるというような、明らかに所有権の権能の一部を譲渡した対価としての…
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【結論(判旨の要点)】審査請求の対象は、審査決定書の記載にかかわらず、不服申立人の真意に基づいて客観的に判断されるべきであり、加算税等のみを対象とした場合には所得金額等に関する訴えは適法な前置手続を欠く。また、既存の通知の誤謬を訂正する通知がなされても、それが新たな処分を構成しない限り、訴訟の対象が当然に拡大することは…