一 省略 二 所得税法九六条ないし一〇一条の定める資産所得合算課税制度の合憲性を争う主張は、特定の法律における具体的な税額計算の定めに関する立法政策上の適不適を争うものにすぎず、違憲の問題を生ずるものでない。
一 当初更正処分後増額再更正処分がされた場合、当初更正処分の取消を求める訴の利益が失われたとしてこれを却下した原審の判断を正当とした事例 二 資産所得合算課税制度に関する規定の適不適とその違憲性の有無
行政事件訴訟法9条,所得税法第4章第1節(96条ないし101条)
判旨
更正処分後に増額再更正処分がなされた場合、当初の更正処分は再更正処分によりその一部が吸収・置換されるため、当初の更正処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
問題の所在(論点)
更正処分後に増額再更正処分がなされた場合、先行する当初の更正処分の取消しを求める「訴えの利益」(行政事件訴訟法9条1項参照)が存続するか。
規範
更正処分がなされた後、これを増額する再更正処分が行われた場合、先行する更正処分は後続の再更正処分によって包括的に変更・吸収されるものと解する。したがって、訴訟の対象となるべき法律関係は再更正処分後の状態に移行し、先行処分の取消しを求める権利保護の必要性(訴えの利益)は消滅する。
重要事実
課税当局による当初の更正処分が行われた後、さらに税額を増額させる内容の再更正処分がなされた。上告人(納税者)は、先行する当初の更正処分の取消しを求めて提訴したが、原審は増額再更正処分の存在を理由に、当初処分の取消しを求める訴えの利益が失われたとして訴えを却下した。これを不服として上告人が上告した事案である。
あてはめ
本件では、当初の更正処分の後にこれを増額する再更正処分が適法になされている。増額再更正処分は、当初処分の内容を包含した上で最終的な税額を確定させる性質を有するものである。そうである以上、納税者が争うべき対象は最終的な処分である再更正処分に集約されるべきであり、もはや再更正処分によって一部が上書きされた当初処分の取消しを求める実益は認められない。したがって、訴えは不適法といえる。
結論
増額再更正処分がなされたことにより、当初の更正処分の取消しを求める訴えの利益は失われるため、訴えは却下されるべきである。
実務上の射程
本判決は、いわゆる「吸収説」の立場を前提としている。実務上、増額再更正があった場合には再更正処分自体を争う必要があり、当初処分を対象とする訴えは不適法却下を免れない点に注意が必要である。ただし、減額再更正の場合には「併存説」がとられ、減額されずに残った部分について当初処分の取消しを争えるという実務上の差異がある点とあわせて理解すべきである。
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