第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であつても、譲渡所得は成立する。
第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられた場合における求償権の取立不能と譲渡所得の成否。
所得税法9条1項8号
判旨
任意競売による資産の移転は所得税法上の「譲渡」に該当し、その収入金額は競落代金の納付時に確定するため、その後に発生する求償権の取立不能という事情は譲渡所得の成否に影響しない。
問題の所在(論点)
任意競売が所得税法上の資産の「譲渡」に該当するか。また、競売に伴い発生する求償権が取立不能であるという事情が、譲渡所得の成否に影響を及ぼすか。
規範
任意競売は担保権の内容を実現する換価行為であり、所得税法上の資産の「譲渡」に該当する。譲渡所得の収入金額の権利確定時期は、資産の所有権が移転する時であり、任意競売においては競落代金納付の時である。この譲渡所得の対象は競落代金そのものであり、代位弁済の効果として発生する求償権は競売の対価ではない。
重要事実
上告人の所有する不動産について抵当権が実行され、任意競売によって第三者が競落した。上告人は、本件競売によって発生した代位弁済による求償権が事実上取立不能であることを理由に、譲渡所得が成立しないと主張して争った。
事件番号: 昭和50(行ツ)123 / 裁判年月日: 昭和53年2月24日 / 結論: 破棄自判
一 賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料は、原則として、その債権の存在を認める裁判が確定した日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべきである。 二 賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員は、その受領の日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべき…
あてはめ
任意競売により目的不動産の所有権は競落人に承継取得されるため、資産の「譲渡」にあたる。その権利確定時期は競落代金納付時であり、この時点で譲渡所得の対象となる収入金額(競落代金相当額)が確定する。代位弁済的効果として生じる求償権は、代金納付後の配当等により発生するものであって競売の対価ではなく、その取立の可否という後発的な事情は、既に確定した譲渡所得の成否を左右しないと解される。
結論
任意競売は資産の譲渡に該当し、求償権が取立不能であっても譲渡所得は成立する。したがって、原審の判断に違法はない。
実務上の射程
強制換価手続全般における譲渡所得の成否および収入金額の確定時期を判断する際の基礎となる判例である。「権利確定主義」に基づき、対価の支払(代金納付)をもって所得が実現したとみなす実務の確立された枠組みを示している。
事件番号: 平成20(行ヒ)419 / 裁判年月日: 平成22年3月30日 / 結論: 破棄差戻
1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受…
事件番号: 昭和29(オ)64 / 裁判年月日: 昭和31年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】課税処分における所得額の算定について、仕入商品に対する利益率を推計により認定すること、および雑損金の有無を原審の判断に委ねることは、法令の解釈に関する重要な主張を含まない適法なものとされる。 第1 事案の概要:上告人は、税務当局による所得算定の基礎となった利益率の推計方法および雑損金の不算入につい…
事件番号: 昭和41(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)第五条の二の規定は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得とし、それを右資産の他への移転の時期において課税の対象とするのを相当と認め、それが対価を伴わずに移転される場合にもいわゆる譲渡所得に準じて取り扱うべきものとしたのであつて、所得のないところに課税所得の存在を擬…
事件番号: 平成21(行ヒ)110 / 裁判年月日: 平成22年4月13日 / 結論: 破棄差戻
都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合には,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの。以下同じ。)33条1項3号の3所定の「都市計画法第56…