1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受ける。 2 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり,かつ,上記の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは,上記補償金の金額で上記曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうち,次の(1),(2)の各金額について所得税法44条の適用を受け,(1)の金額については更に租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条3項2号所定の補償金として同条1項の適用を受ける。 (1) 上記建物の現在価額から発生材価額を差し引いた金額に相当する金額 (2) 運用益損失額に相当する金額のうち,上記補償金の支払を受けた個人が代替建物の建築に実際に要した費用の額が上記曳行移転に係る従前の建物の現在価額を超える場合における当該超える金額に係る当該従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する部分 「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」所定の再築工法 :残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築し,又は残地に従前の建物と同種同等の建物若しくは従前の建物に照応する建物を建築する工法 上記細則所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法 :次に掲げる式により算定した額とする。 建物の現在価額+運用益損失額+取壊し工事費−発生材価額 運用益損失額:従前の建物の推定再建築費と従前の建物の現在価額との差額に係る従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する額
1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受けるか 2 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり,かつ,上記の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは,上記補償金の金額で上記曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうちに所得税法44条又は租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項の適用を受ける金額があるか
(1,2につき)所得税法44条,所得税法施行令(平成16年政令第100号による改正前のもの)93条(2につき)租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項2号,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条3項2号,租税特別措置法施行令(平成16年政令第105号による改正前のもの)22条16項2号
判旨
土地収用に伴う建物移転補償金について、建物が取り壊されず曳行移転された場合であっても、実質的に交付目的に従った支出や取壊しに準ずる損失が認められるときは、所得税法44条や租税特別措置法33条1項の適用が認められ得る。
事件番号: 平成15(行ヒ)217 / 裁判年月日: 平成18年4月20日 / 結論: 破棄差戻
1 資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法33条3項にいう「資産の譲渡に要した費用」に当たるかどうかは,現実に行われた資産の譲渡を前提として,客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきである。 2 土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するに当たり土地改良法42…
問題の所在(論点)
建物が取り壊されず曳行移転された場合に、建物移転補償金について所得税法44条(収用等の場合の費用充当の非課税)および租税特別措置法33条1項(収用等の場合の譲渡所得の特例)の適用が認められるか。
規範
1. 建物移転補償金は原則として一時所得となるが、交付目的に従い移転等の費用に充てた場合は、所得税法44条により総収入金額に算入されない。2. 措置法33条3項2号の「資産の損失に対する補償金」は、取壊し等により失った資産の対価相当額(現在価額から発生材価額を控除した額等)を指し、これについては同条1項の譲渡所得の特例(代替資産取得による課税繰延べ)の適用がある。3. 再築工法による補償金の場合、(1)現在価額相当、(2)運用益損失額のうち一定額、(3)実際の取壊し費用相当が、交付目的に従った支出として各条項の適用対象となり得る。
重要事実
上告人は、県の道路事業のために所有地の一部を売却し、地上建物の移転補償金(再築工法で算出)を受領した。上告人は代替地と代替建物を取得したが、元の建物(本件居宅)は取り壊さず、第三者に無償譲渡に近い形で売却した。買主は当該建物を残地上に曳行(引家)して現存させた。税務署長は、建物が取り壊されていないことを理由に、補償金全額を一時所得として課税更正処分を行った。
あてはめ
1. 本件居宅が第三者に譲渡され曳行移転されたことで、上告人の移転義務は果たされており、補償金のうち曳行移転費用に充てた金額は所得税法44条の適用を受け得る。2. 建物を無償譲渡して土地上から移転させたことは、所有者にとって取壊しに準ずる損失が生じたといえる。したがって、補償金のうち建物の対価相当部分は、建物を新築して取得している以上、交付目的に従ったものとして措置法33条3項2号・1項の適用を受け得る。3. 形式的に「現存」することのみをもって特例適用を否定することは、補償金算出の根拠や実質的な損失補填の態様を無視するものであり妥当ではない。
結論
原審の判断には法令違反がある。建物が現存していても、補償金の算出根拠や支出の実態に照らし、所得税法44条や措置法33条1項の適用を受ける部分があり得るため、さらに審理を尽くさせるべく差し戻すべきである。
実務上の射程
収用等に伴う補償金の税務処理において、形式的な「取壊し」の有無だけでなく、補償金の算定根拠(再築工法等)と実質的な費用の充当状況、および代替資産取得の有無を個別具体的に検討すべきことを示した。答案上は、実質的な損失の補填という趣旨から、形式的な要件(取壊し)を緩和して解釈する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和39(行ツ)111 / 裁判年月日: 昭和40年9月24日 / 結論: 棄却
第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であつても、譲渡所得は成立する。
事件番号: 昭和41(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)第五条の二の規定は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得とし、それを右資産の他への移転の時期において課税の対象とするのを相当と認め、それが対価を伴わずに移転される場合にもいわゆる譲渡所得に準じて取り扱うべきものとしたのであつて、所得のないところに課税所得の存在を擬…
事件番号: 平成21(行ヒ)110 / 裁判年月日: 平成22年4月13日 / 結論: 破棄差戻
都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合には,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの。以下同じ。)33条1項3号の3所定の「都市計画法第56…
事件番号: 昭和61(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成元年3月28日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)三五条一項にいう「当該家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたもの」の譲渡は、当該家屋を所有者として居住の用に供していた者のする譲渡であることを要する。 (反対意見がある。)