都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合には,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの。以下同じ。)33条1項3号の3所定の「都市計画法第56条第1項の規定に基づいて買い取られ,対価を取得する場合」に当たるということはできず,当該所有者は当該買取りの対価につき租税特別措置法33条の4第1項1号所定の長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用を受けることができない。
都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合に,当該所有者は当該買取りの対価につき租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条の4第1項1号所定の長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用を受けることができるか
都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)53条1項,都市計画法(平成12年法律第73号による改正前のもの)54条,都市計画法55条1項,都市計画法56条1項,租税特別措置法(平成14年法律第15号による改正前のもの)31条1項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)31条4項,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項3号の3,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条の4第1項
判旨
公有地の拡大の推進に関する法律に基づき、土地の買取りを希望する旨の申出(同法5条1項)がなされた場合であっても、それが土地所有者の意図に基づくものでないときは、当該買取りに伴う譲渡所得について租税特別措置法上の特別控除(33条の4第1項等)を適用することはできない。
問題の所在(論点)
公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)5条1項に基づく土地買取りの申出が、土地所有者の意思に基づかずになされた場合、当該譲渡について租税特別措置法(措法)33条の4第1項等に規定する譲渡所得の特別控除(1500万円または5000万円の特別控除)を適用できるか。
規範
租税特別措置法上の特別控除制度は、公共事業の施行を円滑にするため、土地所有者の正当な期待や協力、あるいは収用等の強制に伴う損失補償という観点から認められたものである。公拡法5条1項に基づく土地買取り制度においても、同様の趣旨から税制上の優遇措置が認められている。したがって、同条に基づく申出は、単に形式的に書類が整っているだけでなく、土地所有者が自ら当該土地を買い取ってもらう意思をもってなされたことを要する。本人の意思に基づかない申出に基づき、形式的に買取りがなされたとしても、法が予定する協力関係が存在しない以上、特別控除の適用は認められない。
事件番号: 平成11(行ヒ)169 / 裁判年月日: 平成16年7月20日 / 結論: 破棄自判
法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2条10号に規定する同族会社に当たる有限会社の代表者で出資持分の大半を有する社員が,同会社に対して3455億円を超える金員を無利息,無期限,無担保で貸し付けたことに所得税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)157条の規定を適用され,利息相当分の雑所得があるとして…
重要事実
土地所有者であるXらは、公拡法に基づく「買取り申出」を行う意思を持っていなかったが、土地開発公社の担当職員が勝手にXらの印影のある「土地買取り希望申出書」を作成し、これを市に提出した。その際、担当者は市役所備え付けの図面から適当なものを選択して添付していた。Xらは、これらの書類が自身の意思に基づかずに作成・提出されたことを知らずに土地の売買契約を締結し、対価を得た。その後、Xらはこの譲渡が公拡法に基づくものであるとして、租税特別措置法33条の4第1項等の特別控除を適用して確定申告を行ったが、税務署長から更正処分を受けたため、その取消しを求めて提訴した。
あてはめ
本件において、公社担当者は、Xらに無断で申出書を作成し、図面も適宜選択して添付している。Xら自身に「土地を買い取ってもらいたい」という公拡法5条1項所定の自発的な意思があったとは認められない。このような「本人の意思に基づかない申出」は、公拡法の予定する適法な手続とはいえず、実質的に同法に基づく買取りの要件を欠いている。したがって、公共事業への協力に対する報償や損失補償という措置法の趣旨を妥当させる余地はなく、措法所定の「公拡法5条1項の規定による申出に基づき買い取られた場合」には該当しないといえる。
結論
本人の意思に基づかない形式的な公拡法上の申出による土地譲渡には、租税特別措置法上の譲渡所得の特別控除を適用することはできない。
実務上の射程
判決文からは、Xらが後日に契約を締結したことで意思が追認されたかのような主張への検討は不明だが、申出時点での所有者の真意を重視する厳格な判断を示したといえる。
事件番号: 平成20(行ヒ)419 / 裁判年月日: 平成22年3月30日 / 結論: 破棄差戻
1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受…
事件番号: 昭和39(行ツ)111 / 裁判年月日: 昭和40年9月24日 / 結論: 棄却
第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であつても、譲渡所得は成立する。
事件番号: 平成21(行ヒ)199 / 裁判年月日: 平成21年12月4日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)40条の4第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない。