判旨
行政処分における軽微な誤記や訓示規定への違反は、その処分の内容を実質的に左右するものではない限り、処分の効力に影響を及ぼさず、違法事由とはならない。
問題の所在(論点)
滞納処分における税目名の誤記、条例所定の期間経過後の処分、および様式と異なる差押調書の作成が、行政処分を取り消すべき違法な瑕疵に該当するか。
規範
行政処分に形式上の不備や期間の徒過があっても、それが明白な誤記であって実質的な同一性を損なわない場合や、根拠法令の期間制限が「訓示規定」と解される場合には、当該不備は処分の効力を否定すべき重大な違法とはならない。
重要事実
D村が町制施行によりE町となった後、滞納処分において滞納税金のうち「村民税」を「町民税」と誤記した。また、処分が町条例の定める納期後60日という期間を経過して行われ、差押調書も国税徴収法施行細則所定の様式と異なっていたため、滞納者が処分の違法を訴えた。
あてはめ
まず、村から町への移行に伴う「村民税」と「町民税」の表記の違いは明白な誤記であり、処分の対象を誤認させるものではない。次に、条例が定める納期後の期間制限は、行政庁の事務処理の目安を示す訓示規定に過ぎず、期間経過後の処分を直ちに違法とするものではない。さらに、差押調書も必要事項が記載されている限り、細則の様式と完全に一致しなくとも有効である。
結論
本件滞納処分に違法はなく、処分を是認した原判決は正当である。上告を棄却する。
実務上の射程
行政処分の瑕疵の程度を判断する際、形式的・手続的な不備が処分の実質に影響しない軽微なものであるか、あるいは根拠条文が強制力を持たない訓示規定であるかを検討する際の論拠となる。
事件番号: 昭和33(オ)274 / 裁判年月日: 昭和33年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】租税滞納処分における不動産の差押えは、法定の記載要件を具備した差押調書を作成し、その謄本を滞納者に交付した時に、滞納者に対する関係でその効力が発生する。したがって、差押えの効力を争うには、当該謄本の送達を受けた日から法定期間内に不服申立てを行う必要がある。 第1 事案の概要:課税当局が上告人の所有…