判旨
滞納処分としての差押処分の取消訴訟において、審査請求等の前置手続を経ないことについて「正当の事由」が認められない限り、当該訴えは不適法として却下される。
問題の所在(論点)
滞納処分としての差押処分の取消しを求める訴訟において、審査請求等の前置手続を経ないで出訴することにつき、国税徴収法(旧法)にいう「正当の事由」があるといえるか。
規範
行政事件訴訟法等における不服申立ての前置(審査請求前置主義)が課されている場合において、当該手続を経ずに出訴するためには、法令に定める「正当の事由」が認められる必要がある。この正当の事由とは、客観的にみて前置手続を経ることが著しく困難または不適当であると認められる特段の事情を指す。
重要事実
上告人は、租税賦課処分とは別に行われた滞納処分としての差押処分の取消しを求めて提訴した。しかし、上告人は当時の国税徴収法(旧法31条の4第1項但書)が定める再調査または審査の決定を経ることなく、直ちに取消訴訟を提起していた。上告人は、当該手続を経ずに出訴し得る「正当の事由」がある旨を主張したが、原審はこれを否定した。
あてはめ
本件において、上告人は滞納処分としての差押処分の取消しを求めているが、租税賦課処分と滞納処分は別個の処分であり、滞納処分についても原則として前置手続が必要となる。原審の確定した事実関係によれば、上告人が主張する諸事情は、法定の手続を省略してまで直ちに出訴することを正当化する客観的な必要性や困難性を示すものとは認められない。したがって、前置手続を経ないことについて「正当の事由」があるとはいえない。
結論
差押処分の取消しを求める本訴は、必要な前置手続を経ないまま提起されたものであり、かつ不利益を正当化する事由も認められないため、不適法である。
実務上の射程
行政事件訴訟において審査請求前置が義務付けられている場合(現行法下の税務訴訟等)、前置手続を欠いた訴えが適法とされるための「正当の事由」のハードルは極めて高いことを示す。処分の違法性を争う機会自体は保障されていても、手続的要件を遵守しない限り門前払いとなる実務運用を裏付けるものである。
事件番号: 昭和35(オ)245 / 裁判年月日: 昭和35年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】滞納処分としての差押処分は租税賦課処分とは別個の行政処分であるが、その取消訴訟を提起するには原則として不服申立ての決定を経る必要があり、これに基づかない訴えは正当な事由がない限り不適法となる。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、滞納処分としてなされた差押処分の取消しを求めて提訴した。しかし、上告…
事件番号: 昭和39(行ツ)47 / 裁判年月日: 昭和45年7月16日 / 結論: 棄却
破産宣告後は、破産財団に属する財産に対し、財団債権である国税債権をもつて新たに国税徴収法による差押をすることはできない。