滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は,その差押処分の取消訴訟の原告適格を有する。
滞納者と他の者との共有に係る不動産の滞納者の持分に対する差押処分の取消訴訟と他の共有者の原告適格
行政事件訴訟法9条1項,国税徴収法47条1項,国税徴収法69条1項ただし書,国税徴収法69条2項
判旨
不動産共有者の持分に対する国税徴収法に基づく差押処分について、他の共有者は、当該処分の法的効果により自己の用益権設定等の処分が制約を受けるため、行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」として原告適格を有する。
問題の所在(論点)
不動産共有者の一人の持分に対する差押処分がなされた場合に、他の共有者は当該処分の取消しを求めるにつき行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益」を有するか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。処分の名宛人以外の者であっても、処分の法的効果により権利の制限を受ける場合には、当該処分の取消しを求める原告適格を有する。
重要事実
C、A、上告人、Bの4名は本件不動産を共有していた。Bが相続税を滞納したため、税務署長は国税徴収法47条1項に基づき、本件不動産のうちBの持分を差し押さえた。これに対し、他の共有者である上告人らが、本件差押処分の取消しを求めて提訴したところ、名宛人(B)以外の共有者に原告適格があるかが争点となった。
事件番号: 平成26(行ヒ)228 / 裁判年月日: 平成28年3月29日 / 結論: 破棄自判
信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えは,滞納に係る上記固定資産税等のうち上記土地以外の不動産の固定資産税相当額部分に基づき,上記賃料債権のうち上記土地の賃料相当額を差し押さえる点において旧…
あてはめ
国税徴収法に基づく差押えがなされると、滞納者による譲渡や用益権設定等が禁止される。共有不動産においては、滞納者の持分と他の共有者の持分は使用収益上不可分一体をなすため、一部持分の差押登記後に賃貸や地上権設定を行っても買受人に対抗できず、結果として他の共有者の用益権設定等も制約を受ける。また、同法69条に基づき、不動産の価値を著しく減耗させる行為(建物の新築等)については、滞納者のみならず他の共有者も税務署長から使用・収益の制限を受ける立場にある。したがって、他の共有者は処分の法的効果による権利制限を受ける者といえる。
結論
共有持分に対する差押処分につき、他の共有者は取消訴訟の原告適格を有する。もっとも、本件では差押処分自体に違法は認められないため、請求は棄却される。
実務上の射程
処分の名宛人以外の第三者の原告適格を判断する際、当該処分の根拠法規が直接的に第三者の権利を制限する「法的効果」を伴う場合には、9条2項の考慮要素を待つまでもなく原告適格が認められうることを示した事例。共有関係における「使用収益上の不可分性」に着目して権利侵害を認定している点が重要である。
事件番号: 昭和54(行ツ)46 / 裁判年月日: 昭和54年7月20日 / 結論: 棄却
いわゆる権限の委任がされた場合における委任を受けた行政庁がした処分の取消を求める訴は、委任を受けた行政庁を被告とすべきものであつて、委任をした行政庁を被告とすることは、許されない。
事件番号: 昭和35(オ)1254 / 裁判年月日: 昭和37年5月10日 / 結論: その他
会社が銀行と手形取引契約を結び、会社の代表取締役が、担保貸主兼保証人として、銀行と右会社の債務を担保するため、自己所有の建物と同建物内に備え付けられている会社所有の機械・器具について工場抵当法第二条による根抵当権設定契約を締結し、その旨の登記を経由した場合においては、該根抵当権の効力は、右機械・器具にも及ぶものと解する…
事件番号: 昭和54(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和54年11月1日 / 結論: 棄却
地方税法七〇〇条の三第二項の規定は、憲法二九条に違反しない。