地方税法七〇〇条の三第二項の規定は、憲法二九条に違反しない。
地方税法七〇〇条の三第二項と憲法二九条
憲法29条,地方税法700条の3第2項
判旨
地方税法700条の3第2項の規定(入湯税に係る特別徴収義務の規定)は、憲法29条が保障する財産権を侵害するものではなく、合憲である。
問題の所在(論点)
地方税法700条の3第2項が、旅館経営者等に対して入湯税の徴収・納付義務を課す(特別徴収)ことが、憲法29条の財産権を侵害し違憲とならないか。
規範
租税法規が憲法29条に適合するか否かは、その目的、性質、態様等を総合的に考慮し、それが財産権の本質的内容を侵害し、不当に過酷な負担を強いるものであるか否かによって判断すべきである。特に、租税の徴収を確実かつ円滑にするための技術的・便宜的な規定(特別徴収等)については、立法府に広範な裁量が認められる。
重要事実
上告人(原告)は、温泉旅館の経営者であり、地方税法700条の3第2項に基づき入湯税の特別徴収義務者として指定された。上告人は、同規定が徴収の事務負担や納付義務を私人である事業者に課すものであり、憲法29条が保障する財産権を侵害する違憲なものであると主張して争った。
事件番号: 昭和54(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和54年9月20日 / 結論: 棄却
地方税法三四三条二項、七〇二条二項の規定は、憲法一一条、一三条、一四条、二九条に違反しない。
あてはめ
本件規定は、租税の徴収を確実かつ容易にするという正当な行政上の目的を達成するための合理的な手段である。昭和30年3月23日の大法廷判決の趣旨に照らせば、このような特別徴収制度は、社会生活上の必要に基づく合理的な制限であり、受忍限度の範囲内にあるといえる。したがって、経営者に一定の事務負担が生じるとしても、それが直ちに財産権の本質的内容を侵害するような不当に過酷な負担であるとは解されない。
結論
地方税法700条の3第2項は、憲法29条に違反しない。
実務上の射程
租税法規の合憲性(特に29条との関係)が問われる事案において、立法裁量の広さを前提とした判断枠組みとして活用する。入湯税に限らず、所得税の源泉徴収や消費税の徴収義務など、徴収の便宜を目的とした制度の合憲性を肯定する際の有力な論拠となる。
事件番号: 平成15(行ツ)202 / 裁判年月日: 平成18年3月28日 / 結論: 棄却
農作物共済に係る共済掛金及び賦課金の具体的決定を農業共済組合の定款又は総会若しくは総代会の議決にゆだねている農業災害補償法(平成11年法律第160号による改正前のもの)107条1項,農業災害補償法(平成15年法律第91号による改正前のもの)43条1項2号,86条1項,87条1項,農業災害補償法45条の2,87条3項の規…
事件番号: 昭和28(オ)616 / 裁判年月日: 昭和30年3月23日 / 結論: 棄却
一 土地台帳若しくは土地補充課税台帳に一月一日に所有者として登録されている者は、納期において所有権を有しなくてもその年の四月一日に始まる年度の固定資産税の納税義務を負う。 二 地方税法第三四三条および第三五九条は憲法第一一条、第一二条、第一四条、第二九条、第三〇条、第六五条に違反しない。