一 土地台帳若しくは土地補充課税台帳に一月一日に所有者として登録されている者は、納期において所有権を有しなくてもその年の四月一日に始まる年度の固定資産税の納税義務を負う。 二 地方税法第三四三条および第三五九条は憲法第一一条、第一二条、第一四条、第二九条、第三〇条、第六五条に違反しない。
一 土地に対する固定資産税の納税義務者 二 地方税法第三四三条、第三五九条の合憲性
地方税法343条,地方税法359条,憲法11条,憲法12条,憲法14条,憲法29条,憲法30条,憲法65条,憲法84条
判旨
租税法律主義の下、納税義務者等の課税要件は法律によって定められるべきであり、徴税上の便宜を考慮して賦課期日現在の登録名義人を納税義務者とする地方税法の規定は憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
地方税法が、徴税の便宜等のために形式的な登録名義人を納税義務者と定めていることが、憲法84条、30条、29条等に違反しないか。
規範
日本国憲法の下では、租税を創設・改廃するのみならず、納税義務者、課税標準、徴税手続のすべては法律に基づいて定められなければならない(憲法84条、30条)。そして、具体的な課税要件をいかに定めるかは、立法の過程における審議決定に一任されていると解すべきである。
重要事実
上告人は、土地の固定資産税の納税義務者は納期における真実の所有者であるべきだと主張。これに対し、地方税法343条及び359条は、賦課期日(1月1日)現在において土地台帳等に所有者として登録されている者を納税義務者と定めている。上告人は、納期に所有権を有しない者に対しても課税し得る同法の規定は、財産権の保障(憲法29条)や法の下の平等(14条)等に違反すると主張して争った。
事件番号: 昭和54(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和54年9月20日 / 結論: 棄却
地方税法三四三条二項、七〇二条二項の規定は、憲法一一条、一三条、一四条、二九条に違反しない。
あてはめ
固定資産税の対象となる土地は所有権の変動が頻繁でないという性格を有している。このような性質を考慮し、主として徴税の便宜に着目して賦課期日を定め、その時点の登録名義人を納税義務者と確定することは、合理的な形式的標準を採用したものといえる。納税義務者の範囲を納期の実質的権利者ではなく賦課期日の登録名義人とすることは、租税立法に委ねられた立法府の裁量の範囲内であると解される。
結論
地方税法343条、359条の規定は、憲法の諸条規に適合しており、違憲ではない。
実務上の射程
租税法律主義に関する基本判例であり、立法府が徴税の効率性や便宜を考慮して課税要件(納税義務者)を形式的に定めても、それが合理的な範囲内であれば広範な立法裁量が認められることを示している。財産権や平等の観点からの違憲主張を排斥する際の論拠として利用できる。
事件番号: 平成25(行ヒ)35 / 裁判年月日: 平成26年9月25日 / 結論: 破棄自判
土地又は家屋につき,賦課期日の時点において登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は,当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負う。
事件番号: 昭和43(行ツ)10 / 裁判年月日: 昭和49年9月2日 / 結論: 破棄差戻
地方税法七三条の四第一項六号及び三四八条二項一二号所定の「学術の研究を目的とする」法人とは、その定款又は寄附行為の目的条項に日本学術会議法一〇条に定める区分によつて示されるような意味における人文科学及び自然科学の学理的研究並びにその応用に関する研究を行う趣旨を掲げ、かつ、その組織運営及び活動の実体からみて右研究という目…
事件番号: 平成26(行ヒ)190 / 裁判年月日: 平成27年7月17日 / 結論: 破棄差戻
登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている土地につき,固定資産税の賦課期日におけるその所有権の帰属を確定することなく,当該土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会をその実質的な所有者と評価することができるなどとして,地方税法343条2項後段の規定を類推適用することにより,上記自治会又は町…
事件番号: 平成21(行ヒ)154 / 裁判年月日: 平成23年3月25日 / 結論: その他
1 家屋の建替え中のため固定資産税の賦課期日に面積が200?以下である土地の上に地方税法(平成18年法律第7号による改正前のもの)349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない場合において,上記賦課期日における当該土地の現況が,既存の居住用家屋の取壊し後に,その家屋の所有者であった者を建築主とし,約10か月の工事予定…