土地又は家屋につき,賦課期日の時点において登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は,当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負う。
土地又は家屋につき賦課期日の時点において登記簿又は補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合における,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者の固定資産税の納税義務の有無
地方税法343条1項,地方税法343条2項前段,地方税法359条
判旨
賦課期日において未登記かつ未登録の家屋であっても、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録がされた者は、当該年度の固定資産税等の納税義務を負う。
問題の所在(論点)
賦課期日(1月1日)において登記簿又は補充課税台帳に所有者として登記・登録されていない者は、その後賦課決定時までに登記・登録がなされたとしても、当該年度の固定資産税等の納税義務者(地方税法343条1項、2項、702条2項)に該当しないか。
規範
地方税法343条1項及び2項前段は、固定資産税の納税義務者を「所有者」と定め、課税技術上の観点から登記簿又は補充課税台帳上の登録名義人を所有者とみなしている。この登記又は登録は、賦課期日(同法359条)の時点において具備されていることまでを要するものではなく、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録がされれば、当該年度の納税義務を負うと解するのが相当である。
重要事実
X(被上告人)は、平成21年12月7日に家屋を新築し所有権を取得した。平成22年度の固定資産税の賦課期日である平成22年1月1日時点では、当該家屋は未登記かつ補充課税台帳にも未登録であった。その後、同年10月8日に所有者をX、原因を「平成21年12月7日新築」とする表題登記がなされた。市長は同年12月1日、Xに対し平成22年度の固定資産税等の賦課決定処分を行ったが、Xは賦課期日に登録がなかったことを理由に処分の取消しを求めた。
事件番号: 昭和28(オ)616 / 裁判年月日: 昭和30年3月23日 / 結論: 棄却
一 土地台帳若しくは土地補充課税台帳に一月一日に所有者として登録されている者は、納期において所有権を有しなくてもその年の四月一日に始まる年度の固定資産税の納税義務を負う。 二 地方税法第三四三条および第三五九条は憲法第一一条、第一二条、第一四条、第二九条、第三〇条、第六五条に違反しない。
あてはめ
固定資産税は資産価値の所有という事実に担税力を認める財産税であり、法は賦課期日後の登録による課税も制度上予定している(368条等)。本件家屋につき、Xは平成21年12月の新築により賦課期日現在の真の所有者であったといえる。また、賦課決定処分がなされた平成22年12月より前の同年10月の時点で、Xを所有者とする表題登記が完了している。したがって、Xは「賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記されている者」に該当し、評価上、適法な納税義務者であると認められる。
結論
賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記・登録がなされている以上、賦課期日時点で未登記・未登録であっても、Xは納税義務を負う。本件賦課決定処分は適法である。
実務上の射程
固定資産税の「台帳課税主義」の適用範囲を画定した判例である。賦課期日時点の形式的備えのみならず、処分時までの遡及的な登記・登録を許容する点に実務上の意義がある。答案では、地方税法343条2項の「所有者」の意義を論じる際、賦課期日(359条)との関係で時間的要件を補足するために用いる。
事件番号: 平成21(行ヒ)154 / 裁判年月日: 平成23年3月25日 / 結論: その他
1 家屋の建替え中のため固定資産税の賦課期日に面積が200?以下である土地の上に地方税法(平成18年法律第7号による改正前のもの)349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない場合において,上記賦課期日における当該土地の現況が,既存の居住用家屋の取壊し後に,その家屋の所有者であった者を建築主とし,約10か月の工事予定…
事件番号: 昭和54(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和54年9月20日 / 結論: 棄却
地方税法三四三条二項、七〇二条二項の規定は、憲法一一条、一三条、一四条、二九条に違反しない。
事件番号: 平成26(行ヒ)190 / 裁判年月日: 平成27年7月17日 / 結論: 破棄差戻
登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている土地につき,固定資産税の賦課期日におけるその所有権の帰属を確定することなく,当該土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会をその実質的な所有者と評価することができるなどとして,地方税法343条2項後段の規定を類推適用することにより,上記自治会又は町…
事件番号: 昭和45(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和50年12月18日 / 結論: 棄却
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の…