登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている土地につき,固定資産税の賦課期日におけるその所有権の帰属を確定することなく,当該土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会をその実質的な所有者と評価することができるなどとして,地方税法343条2項後段の規定を類推適用することにより,上記自治会又は町会が当該土地の固定資産税の納税義務者に当たるとした原審の判断には,同項後段の解釈適用を誤った違法がある。
登記簿の表題部の所有者欄に「大字西」などと記載されている土地につき,地方税法343条2項後段の類推適用により,当該土地の所在する地区の住民により組織されている自治会又は町会が固定資産税の納税義務者に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方税法343条1項,地方税法343条2項
判旨
租税法律主義の原則に照らし、地方税法343条2項後段を適用して固定資産税の納税義務者を確定するには、賦課期日において土地の所有権が当該者に現に帰属していたことを確定する必要があり、管理処分権限等の実質的評価のみで納税義務を認めることはできない。
問題の所在(論点)
登記上の所有者が消滅している等の特殊な事情がある場合において、地方税法343条2項後段を類推適用し、土地を実質的に管理・支配する団体を「現に所有している者」として納税義務者に特定できるか。
規範
租税法律主義(憲法84条)の原則に照らすと、租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきではない。地方税法343条2項後段の「現に所有している者」とは、固定資産税の賦課期日において、当該土地の所有権が当該者に現に帰属していた者を指す。したがって、真実の所有権の帰属を確定することなく、管理処分権限の有無等の実質的な評価や類推適用によって納税義務を課すことは許されない。
重要事実
事件番号: 昭和28(オ)616 / 裁判年月日: 昭和30年3月23日 / 結論: 棄却
一 土地台帳若しくは土地補充課税台帳に一月一日に所有者として登録されている者は、納期において所有権を有しなくてもその年の四月一日に始まる年度の固定資産税の納税義務を負う。 二 地方税法第三四三条および第三五九条は憲法第一一条、第一二条、第一四条、第二九条、第三〇条、第六五条に違反しない。
堺市内の本件各土地は、登記簿の表題部に「大字西」等の旧地縁団体名が記載され、権利部の登記がない状態であった。これらの土地は、現況では宅地等であり、堺市の財産台帳に地区住民の総有財産として登録され、市の要綱等に基づき関係自治会等が管理処分権限を有する団体として取り扱われていた。堺市長が納税義務者不明として賦課徴収を行わなかったところ、住民が、自治会等を「現に所有している者」として課税すべきであったと主張して住民訴訟を提起した。
あてはめ
原審は、課税上の衡平を理由に同条項を類推適用し、市の要綱等で管理処分権限を有するとされた関係自治会等を実質的な所有者と評価した。しかし、最高裁は、租税法律主義の下では文言を離れた解釈は許されないと判示。本件各土地の所有権が賦課期日において自治会等に法律上帰属していた事実が確定されない限り、単に管理処分権限を有する団体として取り扱われているという実態のみでは、同条項の「現に所有している者」に該当すると評価することはできないとした。
結論
地方税法343条2項後段の類推適用により自治会等を納税義務者とした原審の判断には、同条項の解釈適用の誤りがある。原判決を破棄し、所有権の帰属等についてさらに審理させるため差し戻す。
実務上の射程
租税法規の厳格解釈原則を再確認した判例である。固定資産税の納税義務者の特定において、便宜的な「実質的評価」による課税を否定しており、答案作成上は『実質課税の原則』の安易な適用を牽制し、条文文言(所有権の帰属)を重視する姿勢を示す際に活用すべきである。
事件番号: 昭和61(行ツ)177 / 裁判年月日: 昭和62年7月17日 / 結論: 棄却
地方税法四一五条一項にいう「関係者」とは、一葉ごとの固定資産課税台帳の固定資産について、同法三四三条により納税義務者となるべき者又はその代理人等納税義務者本人に準ずる者をいうものと解すべきである。
事件番号: 昭和54(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和54年9月20日 / 結論: 棄却
地方税法三四三条二項、七〇二条二項の規定は、憲法一一条、一三条、一四条、二九条に違反しない。
事件番号: 平成25(行ヒ)35 / 裁判年月日: 平成26年9月25日 / 結論: 破棄自判
土地又は家屋につき,賦課期日の時点において登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は,当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負う。
事件番号: 昭和43(行ツ)10 / 裁判年月日: 昭和49年9月2日 / 結論: 破棄差戻
地方税法七三条の四第一項六号及び三四八条二項一二号所定の「学術の研究を目的とする」法人とは、その定款又は寄附行為の目的条項に日本学術会議法一〇条に定める区分によつて示されるような意味における人文科学及び自然科学の学理的研究並びにその応用に関する研究を行う趣旨を掲げ、かつ、その組織運営及び活動の実体からみて右研究という目…