地方税法七三条の四第一項六号及び三四八条二項一二号所定の「学術の研究を目的とする」法人とは、その定款又は寄附行為の目的条項に日本学術会議法一〇条に定める区分によつて示されるような意味における人文科学及び自然科学の学理的研究並びにその応用に関する研究を行う趣旨を掲げ、かつ、その組織運営及び活動の実体からみて右研究という目的にそつていると認められる法人をいい、必ずしも学術に関する法人として文部大臣の設立許可を受けたもののみに限定されない。
地方税法七三条の四第一項六号及び三四八条二項一二号所定の「学術の研究を目的とする」法人の意義
地方税法73条の4第1項6号,地方税法348条2項12号
判旨
地方税の非課税要件たる「学術の研究を目的とする法人」とは、定款上の目的のみならず組織・運営・活動の実体から判断すべきであり、また、納税義務の成立や内容は法律によってのみ定められるため、課税庁と納税者間の合意によって左右されない。
問題の所在(論点)
1. 地方税法348条2項12号等の「学術の研究を目的とする法人」の意義および範囲。 2. 課税庁と納税者間の合意が納税義務の成否に影響を及ぼすか(租税法律主義と合意の効力)。
規範
1. 地方税法上の「学術の研究を目的とする法人」とは、人文・自然科学の学理的研究・応用研究をいい、定款等の目的条項に加え、組織・運営・活動の実体からその目的に副っていると認められるものを指す。 2. 租税法律主義の原則に基づき、納税義務の成立及び内容は専ら法律の定めるところにより、課税庁と納税者間の合意や一方的行為によって変更することはできない。
重要事実
被上告人(財団法人)が所有する固定資産等につき、地方税法上の非課税規定(学術研究目的の法人が直接研究の用に供する資産)の適用が争われた。上告人(市長等)は、被上告人が文部大臣の設立許可を受けた法人に限られるべきであること、及び市長と被上告人との間で課税を容認する旨の合意があったこと等を理由に、賦課処分の正当性を主張した。
事件番号: 昭和28(オ)616 / 裁判年月日: 昭和30年3月23日 / 結論: 棄却
一 土地台帳若しくは土地補充課税台帳に一月一日に所有者として登録されている者は、納期において所有権を有しなくてもその年の四月一日に始まる年度の固定資産税の納税義務を負う。 二 地方税法第三四三条および第三五九条は憲法第一一条、第一二条、第一四条、第二九条、第三〇条、第六五条に違反しない。
あてはめ
1. 法人の目的については、主務官庁の設立許可の有無にかかわらず、定款の規定および実体的な活動状況から判断される。本件法人は寄附行為に学術研究の趣旨があり、実体もそれに副うため、要件を満たす。 2. 賦課処分の適法性は、客観的な法律の規定に適合するか否かにより決まる。仮に市長と法人の間に課税を認める合意があったとしても、それによって法律上の納税義務の有無が左右されるものではなく、合意の存在を理由に賦課処分を適法とすることはできない。
結論
1. 被上告人は「学術の研究を目的とする法人」に該当する。 2. 課税に関する合意があったとしても、賦課処分の適法性は左右されない。ただし、個別の資産が「直接研究の用」に供されているかの認定に理由不備があるため、本件を差し戻す。
実務上の射程
租税法律主義を具体化した重要判例であり、実務上、課税要件充足性の判断において私人間のような合意による修正(合意課税)が認められないことを示す。答案では、課税処分の違法性を争う場面において、行政側からの「合意があった」との反論を排斥する根拠として用いる。
事件番号: 昭和54(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和54年9月20日 / 結論: 棄却
地方税法三四三条二項、七〇二条二項の規定は、憲法一一条、一三条、一四条、二九条に違反しない。
事件番号: 平成10(行ヒ)41 / 裁判年月日: 平成15年6月26日 / 結論: 棄却
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合には,上記価格の決定は違法となる。 2 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成8年自治省告示第192号による改正前のもの)に定める市街地宅地評価法にのっとり,いわゆる7割評価通達…
事件番号: 平成21(行ヒ)154 / 裁判年月日: 平成23年3月25日 / 結論: その他
1 家屋の建替え中のため固定資産税の賦課期日に面積が200?以下である土地の上に地方税法(平成18年法律第7号による改正前のもの)349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない場合において,上記賦課期日における当該土地の現況が,既存の居住用家屋の取壊し後に,その家屋の所有者であった者を建築主とし,約10か月の工事予定…
事件番号: 平成24(行ヒ)79 / 裁判年月日: 平成25年7月12日 / 結論: 破棄差戻
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録された価格の決定は違法となる。 2 評価対象の土地に適用される固定資産評価基準の定める評価方法が…