租税滞納処分としてした不動産差押処分の取消を求める訴訟は、民事訴訟用印紙法の適用については、財産権上の請求に係る訴訟である。
租税滞納処分としてした不動産差押処分の取消を求める訴訟は民事訴訟用印紙法の適用上財産権上の請求に係る訴訟か。
民事訴訟用印紙法2条
判旨
滞納処分としての不動産差押処分の取消しを求める訴えは、所有権の喪失を防止し処分の禁止を解くことを目的とするため、財産権上の請求に係る訴訟に該当する。また、その訴訟目的の価額の算定において、固定資産評価額を基準とすることは適法であり、最低公売価格がそれを下回るとしても直ちに不当とはいえない。
問題の所在(論点)
滞納処分としての不動産差押取消訴訟が「財産権上の請求に係る訴訟」に該当するか。また、その訴額算定において固定資産評価額を基準とすることは許容されるか。
規範
行政処分の取消しを求める訴訟であっても、その実質が特定の財産権の保護や喪失の防止を目的とするものであるならば、財産権上の請求に係る訴訟と解するのが相当である。また、訴訟目的の価額(訴額)の算定にあたっては、客観的な評価基準である固定資産評価額を用いることは合理的であり、手続上の特殊性から低く見積もられ得る最低公売価格等の他指標を当然に優先すべきではない。
重要事実
上告人は、自己が所有する不動産に対し、税の滞納処分として被上告人(国等)が行った差押処分の取消しおよび公売禁止を求めて提訴した。一審裁判所は、本件訴訟を財産権上の請求と判断し、昭和32年度の固定資産評価額を基準に訴額を算定して印紙の追貼を命じた。これに対し上告人は、本件は公法上の権利関係に関する非財産権上の訴訟であり、かつ固定資産評価額による算定は最低公売価格と比較して高額過ぎるとして争った。
あてはめ
本件訴訟の目的は、不動産の処分禁止を解き、所有権の喪失を防止することにある。これは実質的に個別の財産的利益を争うものであるから、財産権上の請求であることは明白である。管轄規定と印紙法規定は趣旨を異にするため、行政訴訟であるからといって直ちに非財産権上の訴訟にはならない。また、算定基準について、最低公売価格は時価以下に見積もられることが多い実態に鑑みれば、固定資産評価額を用いて算定した一審の判断は合理的な裁量の範囲内といえる。
結論
本件訴訟は財産権上の請求に係る訴訟であり、固定資産評価額に基づき訴額を認定した判断に違法はない。
実務上の射程
行政事件であっても、金銭的・財産的価値が目的となる場合は財産権上の訴えとして扱われることを示した。答案上では、訴額算定の妥当性や、行政訴訟の性質(財産権上の訴えか否か)が問題となる場面で、実質的な目的(所有権喪失の防止等)に着目して判断する際の根拠となる。
事件番号: 昭和32(オ)617 / 裁判年月日: 昭和33年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定に関する不服は、適法な上告理由に当たらない。また、原審が第一審の証拠を引用して行った事実認定は、最高裁においても是認される。 第1 事案の概要:上告人は、本件買収計画の目的地が訴外Dの所有に属していたという原審の事実認定が誤りであると主張して上告を申し立てた。原審は、第一審が掲示した証拠を…