地方税法11条の8にいう「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」とは,第二次納税義務に係る納付告知時の現況において,本来の納税義務者の財産で滞納処分(交付要求及び参加差押えを含む。)により徴収することのできるものの価額が,同人に対する地方団体の徴収金の総額に満たないと客観的に認められる場合をいう。
地方税法11条の8にいう「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」の意義
地方税法11条1項,地方税法11条の8
判旨
第二次納税義務(地方税法11条の8)の要件である「滞納処分をしてもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合」とは、納付告知時の現況において、本来の納税義務者の財産で滞納処分(交付要求等を含む)により徴収できる価額が、徴収金の総額に満たないと客観的に認められる場合をいう。
問題の所在(論点)
地方税法11条の8に基づく第二次納税義務の成立要件である「滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められるとき」(徴収不足要件)の判断基準および判断時期が問題となる。
規範
地方税法11条の8(無償譲渡等の第二次納税義務)にいう「滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」とは、第二次納税義務に係る納付告知時の現況において、本来の納税義務者の財産で滞納処分(交付要求及び参加差押えを含む。)により徴収することのできるものの価額が、同人に対する地方団体の徴収金の総額に満たないと客観的に認められる場合をいう。
重要事実
滞納者B社は、平成20年末から21年初頭にかけてA社に不動産を譲渡等した。その後B社は再生手続(後に破産手続)に入った。東京都知事は、平成21年8月時点でB社の徴収金(本税約14.8億円、延滞金含め約16.5億円)に対し、B社の資産では不足すると判断し、A社に対し第二次納税義務の納付告知を行った。しかし、当時のB社の破産財団には、別除権の対象外である約68億円の預託金返還請求権や、約37.9億円の財団残高が存在していた。実際に都知事は、後に交付要求等を通じて本税全額を回収している。
事件番号: 平成6(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成6年12月6日 / 結論: 棄却
国税徴収法の定める第二次納税義務の納付告知には、国税の更正、決定等の期間制限に関する国税通則法七〇条は類推適用されない。
あてはめ
本件納付告知がされた平成21年8月4日の時点で、B社の滞納額は約16.5億円であった。これに対し、当時のB社の資産状況をみると、別除権の対象ではない資産(清算価値)は約76.5億円、破産財団残高は約37.9億円存在し、さらに約68億円の預託金返還請求権も有していた。これらの資産は、破産手続における交付要求等の滞納処分により徴収可能なものであった。事実、都知事は後の交付要求等により本税全額を回収しており、納付告知時において徴収可能価額が徴収金総額に満たないとは「客観的に認められない」。
結論
本件納付告知の時点において徴収不足の要件を満たさないため、当該告知処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
第二次納税義務の補充性から、徴収不足の判断は「告知時」を基準に、主観的予測ではなく「客観的な徴収可能性」の有無で決するという枠組みを示した。実務上は、滞納者が破産等していても財団債権等として回収可能な資産が十分にある場合には、第二次納税義務を課すことはできないという歯止めとなる。
事件番号: 平成10(行ツ)149 / 裁判年月日: 平成15年12月19日 / 結論: 棄却
いわゆる一括支払システムに関する契約において譲渡担保権者と納税者との間でされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意は,同条5項の趣旨に反して無効である。 (補足意見がある。)
事件番号: 昭和51(行ツ)37 / 裁判年月日: 昭和51年10月8日 / 結論: 棄却
国税徴収法三九条にいう「受けた利益の限度」の算定にあたつては、当該受益財産の取得により課される道府県民税及び市町村民税の額は、これを右受益財産の価額から控除すべきものではない。